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「山ねずみロッキーチャック」 『山ねずみ』という動物は実在しない?

『山ねずみロッキーチャック』は、1973年に放送されたズイヨー映像制作のアニメ作品。かつてフジテレビで放送されたアニメ専用枠「世界名作劇場」の前身である「カルピスまんが劇場」で放映されており、その第5作目にあたる。

巣立ちの時を迎えた山ねずみのロッキーが、旅を経てやって来た”みどりが森”で多くの動物たちを交流していくという物語。アメリカの作家ソーントン・バージェスの絵本『バージェス・アニマル・ブックス』を原作としたアニメであるが、原作は全20巻の作品ごとに主人公が異なっていたため、アニメではウッドチャック(マーモットの一種)であるロッキーを全編の主人公格に据えたという経緯がある。

本作は、自然環境や生態系への関心を持って欲しいという意図から、物語を通して動物の生態も描く方針がとられていた。ただし、流石に肉食動物による捕食シーンは一度も描かれることはなかった。

また、人間との対立はもちろんのこと、ビーバーがダムを建設する際に水の利権を巡って動物たちと対立したり、ロッキー自身が無実の罪を着せられ森から追放されそうになったりと、非常にシリアスなエピソードも多い。

本作は、増山江威子(峰不二子)、山田康雄(ルパン三世)、八代駿(くまのプーさん)、肝付兼太(骨川スネ夫)、田の中勇(目玉おやじ)、富山敬(古代進)、富田耕生(バカボンのパパ)、滝口順平(滝口順平)、井上真樹夫(花形満)、神谷明(キン肉マン)など、現在からみると非常に豪華な声優陣となっており、さらに主題歌はOP、EDいずれも堀江美都子(正確にはミッチーとチャタラーズ名義)が歌唱している。

さて、タイトルにもある「山ねずみ」であるが、厳密に言うと「山ねずみ」という動物は存在しない。漢字で「山鼠」と書いて”ヤマネ”という動物は存在しているが、ではロッキーチャックがヤマネの仲間であるかと言われるとそうとも言えない。

前述したように、原作のロッキーチャックは「ウッドチャック」であるが、ウッドチャックはリスの仲間であり、ヤマネの仲間ではない(リス目である点は共通)。

翻訳時、なぜ「山ねずみ」と変えたのかはよくわかっていないが、他の動物の仲間たちなどと比べてみるに、ウッドチャックという動物そのものが日本で馴染みが無かったためだったとも考えられるだろう。

【参考記事・文献】
https://music1963.com/?p=2494
https://x.gd/UcH09
https://x.gd/lHKR6

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【文 ZENMAI】

画像『山ねずみロッキーチャック デジタルリマスター版 DVD-BOX上巻【想い出のアニメライブラリー 第1集】