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理由なき悪意!「ガンバの冒険」最恐最低のヴィラン、白イタチのノロイ

画像『EMOTION the Best ガンバの冒険 DVD-BOX

『ガンバの冒険』は、1975年に放送された斎藤惇夫(あつお)の児童小説『冒険者たち ガンバと15ひきの仲間』原作のアニメ作品である。

主人公であるガンバをはじめとした7匹の仲間達が、白イタチのノロイを倒すため旅をするという内容の本作は、八丈島のネズミ駆除目的で放たれたイタチにインスピレーションを受けたものであると言われており、ネズミ視点から見た世界を描くと同時に、木漏れ日に照らされて白く輝くイタチの姿からノロイを創作したという。

白イタチのノロイは、本作最強の敵であると同時に、アニメ史上に残る悪役としても名高いキャラクターだ。極めて知能が高く、ネズミたちの精神を着実に削りながら惨殺を繰り出す辛辣な策謀、そして兵糧攻めも完遂させるという凄まじさであり、子供向けアニメとは思えない悪役ぶりである。

悪役という存在は、いかなる存在であろうとも背景が描かれることが普通だ。いかにして当人がそのような残虐非道となったか、なぜそのような思想を抱くようになったか、それによって見る者は悪役と言えども共感する部分も少なからず抱くこともあり、正義・悪とは何かという問いに考察する余地を与えるものともなり得る。

ところが、ノロイに関しては事情が全くと言っていいほど異なっている。作中、島を支配され助けを求めてきた忠太の発言によれば、ノロイたちイタチの群れがネズミたちを襲うのは、縄張りを奪うためではなく「ただ殺すこと」にあるという。そして、なぜノロイがそうした殺戮そのものを楽しむのかについては、一切触れられていない。

イタチの群れを率いる身としては統率力も強く、最後までイタチが全滅するまで一度も内部闘争が発生していない。また、白さという美へのこだわりも強く、プライドも高い様子が見られる。こうした点から、以前は人間、それもかなり策略に長けたような人物のもとで飼育されており、その白く美しい姿を褒められながら、その思想や策略を聞かされながら育てられたのではないかとも考察されている。




ノロイと比較される他作品のキャラクターもいくつかいる。『うしおととら』に登場する大妖怪「白面の者」は、邪悪の化身として破壊や殺戮を無上の喜びとする存在として描かれており、ノロイがモデルではないかという噂が囁かれた。

このことについては、作者である藤田和日郎が否定しており、何より白面の者の場合は「陽の存在への羨望と嫉妬、陰である自身への憎悪と絶望」という”理由”がある。

また、『ドラゴンボール』に登場するフリーザと比較されることもある。両者は、紳士的な口調、気に入らなければ部下であろうと処刑、戦力的に瞬殺可能であるにも関わらず嬲り殺しを取ろうとする、白いなど通ずる部分が多い。因みに、フリーザは極悪な宇宙人という立場となっているが、アニメ『ケロロ軍曹』では「地球外生命体だったのでは?」という仮説とともにノロイがパロディで描かれている。

ノロイは部下のイタチの中でも一際巨大な個体となっており、さらにはガンバや仲間たちに対して催眠術のようなものまで扱うシーンも存在している。あながちイタチの姿をした地球外の脅威的存在であるという可能性も間違いではないのかもしれない。

余談であるが、ノロイの声を担当したのは声優大塚周夫であるが、後年の劇場版『ガンバとカワウソの冒険』(1991)の悪役である野犬のリーダー・ブラックの声優は、彼の息子である大塚明夫が担当している。親子二代に渡り、ガンバの最強の悪役を演じるというのは何とも縁深いものだ。

【参考記事・文献】
ガンバの冒険
https://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%90%E3%81%AE%E5%86%92%E9%99%BA
ノロイ(ガンバの冒険)
https://x.gd/PS009
ノロイはなぜ“日本アニメ史上に残る悪役”と言われるのか? 美しいものこそ本当に気をつけなければならない
https://animeanime.jp/article/2020/06/28/54639.html
『ガンバの冒険』の悪役ノロイについて書きました
http://hotakasugi-jp.com/2020/06/29/anime-column-gamba-noroi/

(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)