事件

小説もドラマも人気「鬼平犯科帳」のモデルは長谷川平蔵と…もう一人存在

鬼平犯科帳は、小説家の池波正太郎による時代劇小説。1787~95年まで江戸幕府の役職「火付盗賊改」(いわゆる特別警察)の長官を務めた実在の幕臣・長谷川平蔵宣以(はせがわへいぞうのぶため)を中心に、江戸にはびこる凶悪な賊の取り締まりや、周囲の人々との交流を描いた作品。鬼平とは、「鬼の平蔵」の略称。

数度のドラマ化や、さいとう・たかをによる劇画化、そしてアニメ化や舞台化など多岐にマディア展開されるほどの人気作品であり、小説も32年という長期に渡って連載されていたが、池波が死去したため作品自体は未完のまま終了している。

鬼平犯科帳は、前述の通り実在の人物・長谷川平蔵をもとに描いているが、実は池波が小説を執筆するにあたってはある人物をイメージ・モデルにしていた。

その人物は、歌舞伎役者の八代目松本幸四郎(初代松本白鸚)。歌舞伎演目「元禄忠臣蔵」の大石内蔵助役などがハマり役として知られ、映画「敵は本能寺にあり」(1960)の明智光秀役など映画やドラマにも出演している。彼は、鬼平犯科帳のドラマ版1、2シリーズで長谷川平蔵を演じたが、これは池波がじきじきに指名したことで実現したものだったという。

その後、第5シリーズでは八代目の息子である二代目中村吉右衛門が鬼平を演じることになるのだが、実は第2シリーズ後のドラマ化の時点で既に一度オファーがきていた。

これも、池波の指名によるものであったのだが、当時の中村は自分がまだ若すぎるということを理由に固辞し、結局第3、第4シリーズは丹波哲郎、萬屋錦之介がそれぞれ演じることとなった。そして第5シリーズでは、平蔵が火付盗賊改に就任した年齢に達したということで、満を持しての登板となった。

その後、2024年1月より公開されている「鬼平犯科帳」では、中村の甥である十代目松本幸四郎が平蔵を継承することになり、祖父(初代鬼平)から数えて五代目鬼平が誕生した。

【参考記事・文献】
https://dic.nicovideo.jp/a/%E9%AC%BC%E5%B9%B3%E7%8A%AF%E7%A7%91%E5%B8%B3
https://dic.pixiv.net/a/%E9%AC%BC%E5%B9%B3%E7%8A%AF%E7%A7%91%E5%B8%B3

【アトラスニュース関連記事】
名優・松本幸四郎の自動車保険CM、「怖すぎ」「体調悪い!?」との声も…

『真田丸』と『真田太平記』、草刈正雄がつなぐ二大名作、丹波哲郎も降霊!?

【文 ナオキ・コムロ】

画像『鬼平犯科帳<4Kデジタルリマスター版>(TV番組)