吉野家と言えば、すき家や松屋と並んで名前のあがる牛丼チェーン。1899年に松田栄吉が東京の日本橋で創業して以来、こんにちに至るまで人気の牛丼チェーンとして知られる。
同業他社の誕生に少なからず関わっており、松屋の創業者である瓦葺利夫は、吉野家築地店に毎日通うほど吉野家の牛丼にハマったことがきっかけで松屋を興しており、またすき家を運営するゼンショーの創業者・小川賢太郎は、4年ほど吉野家で働いていた経験もあってのちにすき家を開いたという。
キャッチコピー「うまい、安い、早い」(過去に2度入れ替わっている)で知られる吉野家だが、老舗のチェーンであるためか非常に多くの都市伝説が囁かれている。
軽く列挙するだけでも以下のようなものがある。
・1979年に放送されていた「ここは吉野家 味の吉野家 牛丼一筋 80年~」の調子でお馴染み吉野家のCMで、バットを振る少年に母親の「いちろう、お土産よ」とテイクアウトの牛丼が手渡され、「やってねパパ明日はホームランだ!!」と少年が言う。これは、のちにイチローがプロ野球で活躍することを暗示している。(因みに、上記のCMで少年が着ている上着には「HOMERUN KING 756」と書いてあり、これは当時ホームラン世界記録756本を打ち立てた王貞治のことを指していると言われている)
・はじめは「はやい。やすい、うまい」であったが、一度倒産した経験もあって「うまい、やすい、はやい」にキャッチフレーズが入れ替えられた。
・吉野家のどんぶりに描かれている鳥の絵に「ヘソ」が描かれていないものを見つけると、牛丼が一杯タダになる。
・「つゆ表面張力」というオーダーがある。
・吉野家の牛丼で使用される”つゆ”は企業秘密となっており、生産工場がどこにあるかすらごく少数の社員しか知らず、社長も知らない。
・「ねぎ抜き、つゆ抜き、肉抜き、ご飯抜き」をオーダーすると、空のどんぶりが提供されて料金は並で請求される。ただし、つゆが企業秘密ということもあり「つゆだけ」とオーダーしても決して出されない。
こうした、いくつもの都市伝説が散見される吉野家であるが、現在でも謎めいているとあるネタが存在している。それは、通称「吉野家コピペ」と呼ばれるものに由来する。
吉野家コピペは、個人ブログや匿名掲示板などに書かれた一連のテキストが、何らかの理由でウケたことで各所にコピー・貼り付けされるコピペネタの中でも、非常によく知られたものの一つであり、記述者の吉野家の牛丼通がどれほどであるかを語る内容となっている。
2001年に個人サイトで書かれたものが、ネット掲示板に輸入されたことで爆発的に普及し、以後改変や派生などを生むほどの定番ネタとなっていった。
このコピペの中に、「それに大盛りギョク(玉子)。これ最強。」という一文があるのだが、実はこれが少々謎めいているという。吉野家では、従業員間で注文メニューの伝達を行なう際、「つゆだく」「アタマの大盛」などの符牒(隠語)を用いている。
実は、コピペの中にある「ギョク」という符牒が、吉野家では存在していないというのがこのコピペネタの大きな謎となっているわけだ。
これについては、寿司屋の卵焼き、あるいはすき家の玉子の符牒を転用したという説のほか、様々な出所が考えられている。一方で、これらの説があることから、このコピペの大元を記述した人物が、そもそも吉野家通ではなかったのではとの疑問も噴出する結果となった。
もっとも、いかにも通ぶった言い方をするという、それ自体が一つのネタであったとも言えなくはないのだが。
【参考記事・文献】
・https://x.gd/Ko1AB
・https://ameblo.jp/to7002/entry-12554793786.html
・https://x.gd/Ripkl
・https://dic.pixiv.net/a/%E5%90%89%E9%87%8E%E5%AE%B6
【アトラスニュース関連記事】
【都市伝説】吉野家の「松茸牛丼」は松茸よりも「肉」がうまかった!?
【「キン肉マン」&牛丼にまつわる都市伝説】作者は某店で牛丼食べ放題!?
【文 ナオキ・コムロ】
Photo credit: *_* on Visualhunt.com