『ウメ星デンカ』は、1968年から70年まで小学館雑誌に連載されていた藤子・F・不二雄のギャグ漫画作品。
母星を失った王族一家が、地球の平凡な家庭に居候することで巻き起こる騒動を描いた作品であり、デンカたちの使用する壺型の宇宙船からさまざまな道具が出てくるという設定は、のちのドラえもんの四次元ポケットのプロットになったと言われている。
1969年4月から9月までテレビアニメ化もしているが、当時カラー化が進んでいたにもかかわらず、予算の都合上モノクロ作品として制作された。
この「ウメ星デンカ」の放送当時、不二家のタイアップCMで「いたずらデンカもよっといで~」で始まるCMソングがあった。作曲・編曲を小林亜星が担当しており、現在この曲自体は「小林亜星CMソング・アンソロジー」で聴くことが可能となっている。
その一方で、現在では入手困難となっている音源もある。
アニメ放送当時に学習雑誌にとある付録がついていた。それは、塩化ビニルで作られた廉価のレコード盤である「ソノシート」。その中には、「ウメ星デンカ」の世界観を深めるために製作された楽曲が、「ウメ星デンカがこんにちは」「ウメ星デンカの子守唄(ソノシート表記では”子もりうた”)」「ウメ星マーチ」「ウメ星国歌(ソノシート表記では”こっか”)」の4曲が収録されている。
このうち、「こんにちは」と「マーチ」は、それぞれOP・ED曲あるいは挿入歌でもあるため他のCDで聴くことができるが、問題は「子守唄」と「国歌」だ。なんと、この2曲はこれまで一度もCD化されていなかった。
このことは、いくつかのサイトでも紹介されており、『小学一年生』1969年6月号”のみ”で発表されたという記載がなされることがあるがし、実際は『小学二年生』1969年5月号にて内容が全く同じソノシートが付録に採用されているため、「小学一年生」だけというのは誤りであるようだ。
なお、CD化されていなかった2曲のうち「国歌」のマスターテープが日本コロンビア株式会社から発掘されたことで、藤子・F・不二雄生誕90周年となる2024年に発売された「藤子・F・不二雄 MUSIC HISTORY」にて初めて収録されることになった。
だが、「子守唄」は依然として付録のソノシートでしか聴くことができないことは事実だ。こちらも、いつかマスターテープが発掘されることを願ってやまない。

【参考記事・文献】
・https://x.gd/rdSGH
・https://wiki3.jp/fujikofujio/page/22
・https://columbia.jp/company/corporate/news_release/2024/pdf/240925.pdf
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【文 ナオキ・コムロ】