スピリチュアル

「とある小学校での出来事」

讃岐の白狐です。

今回は、先日学校の怪談の投稿の回を聞いていて思い出した件が有り、投稿させていただきました。

40年ほど前の出来事で、場所は博多区のお寺に隣接された小学校です。その時、大学は夏休み期間中で私は帰省せず不定期のアルバイトをしていました。

そんな或る日、演劇部の先輩からその小学校に夕方から食料を調達して遊びに来いという電話を受けました。

聞くと、先輩は夏休みの短期アルバイトとして小学校の夜間警備を知人から頼まれたらしく、朝まで退屈なので付き合って欲しいとの事でした。

小学校で遊べると聞いて、なんだか楽しそうだと単純に考え、快く承諾しました。

陽が落ちて校内に立ち入ると他に3人が既に集まっていて総勢5人になっていました。なんとなく、なんでこんなに集めたのだろうかと思いましたが、宿直室に入って行くと既に麻雀卓が用意されていて、その為かと気が付きました。

驚いた事に麻雀のメンバーは、毎晩のようにその宿直室に集結しているみたいで、午後9時、深夜零時、午前3時の定期巡回警備を私にさせる為に呼ばれたのだと理解しました。

全員で私の用意した夕食で軽く宴会をしたあと、私は先輩に「プールで泳いできていいですか?」と聞きました。

「良いけど、直ぐに帰って来いよ。それから何か有ったら直ぐに水から上がれよ」

何かって何の事だろうと思いましたが、昼間の汗を早く流したくて私は飛び出していきました。

真っ暗な25mプールで独り、全裸で泳ぐのはとても気持ちが良くて時を忘れて私は開放的な時間を満喫していました。

すると、時間は分かりませんが突然子供の声が校舎の方から微かに聞こえて来ました。

耳をすますと、それは女の子の声らしく、はしゃぎながら廊下を走っている様に聞こえました。誰もいない筈の夏休みの校舎から聞える筈の無い声に私はプールサイドに向かって泳ごうとしました。

何故か急に水が体に重く絡み付いて来る感触があり、まるで油の中を泳いでいる様に自由が利かなくなりました。

勝手に頭で想像して、手足に髪の毛が絡み付いていたりしてと思い確認しましたが、単なる妄想でした。何とかプールサイドに上がって校舎を見上げましたが声は3階から聞えて来ていました。

校舎と反対側のフェンスの向うには一面の墓場が広がっていて、さらに恐怖感に襲われた私は走って宿直室に逃げ帰りました。

「先輩。3階から女の子が聞こえますよ」

焦って報告する私に「あ。そう。」と4人ともそっけなくマージャンを続け、「真っ暗な学校のプールで しかも墓場の横で水に浸かってたら、思い込みから幻覚も起きるよな」と、まったく取り合ってくれませんでした。

まず午後9時の巡回は全員で行いました。それは、私に巡回する進路と手順を教える為でした。

しかし、何故か彼等は3階には上がらず、2階で3階の説明をしてくれました。

その途中で、何度か女の子のはしゃぎ声や3階の廊下を走る音がする度に「これって何ですか?」と私は聞くのですが、「何が?」と、やっぱり相手にしてくれません。

明らかに態度がおかしく、彼等の緊張感は私にも伝わり、私と目を合わさない彼等に知ってて教えたくない何かが3階にはあるのだと感じました。

午前零時の巡回は、私独りで向かいました。

理科室の人体模型とか美術室の肖像画などはやっぱり不気味で、急いで巡回を済ませましたが3階を巡回するのはやっぱり抵抗が有り、その時に声はしていませんでしたが階段を上れずに結局、私は先輩に嘘をついて上がった事にして宿直室に戻りました。

先輩達は不安気に私を見ていましたが、巡回については何も言いませんでした。

最後の巡回も私独りでしたが、もう来れない事も有って、どうしても声の正体を知りたくなって私は階段を上って3階の廊下に到着しました。

恐る恐る各教室を懐中電灯で照らしながら巡回しましたが、やっぱり声もせず、霊的なものも確認出来ず、夜の学校が持つ雰囲気にのまれた私の思い込みだったのかと2階に下りようと階段に足を掛けた瞬間・・・廊下を向うから誰かが走って来るスリッパの音が聞こえて来ました。

一気に寒気に全身が包まれ、私はダッシュで宿直室まで駆けて行きました。

へたり込んで息を切らす私を心配そうに先輩達は見ていましたが、やっぱり誰も声を掛けてはきませんでした。

このまま帰宅するのも怖くなって、日の出を待って先輩達と一緒に学校を出ようと私はマージャンを続ける先輩の横で横になって漫画雑誌を読んでいました。

時間はやはり覚えていませんが、突然、横になり右ひじで頭を支えて雑誌を読んでいる状態で金縛りにあいました。

目を動かしても脇腹に誰かが跨っている感覚の正体は見えず、余りの苦しさに先輩達に必死に声を出して助けを求めました。まともに声が出ない為、唸り声を上げて知らせました。

彼等は、驚いて私を見下ろし、麻雀卓から立ち上がって引き攣った表情で後ずさっていきます。

何で助けてくれないのかと私は必死に体をよじって仰向けになった瞬間に金縛りは解けました。

「何で、助けてくれなかったのですか」問い詰める私に「何でって、いきなり女の子のような声でケラケラ笑い出すから怖くて
頭おかしくなったのかと思ったんだよ」そういわれて私は、逆に怖くなって何も言えなくなってしまいました。

後日、その先輩が言うには、いじめが原因で3階の教室で自殺した女の子がいたそうで。その所為なのか、警備員の交代が激しく、知人に一週間だけとアルバイトを頼まれたそうですが、私が県外出身者で事件を知らないだろうからという事で頼んだそうで、他の4人全員は、実際に女の子を見たそうで、私は結局見ては無いですが酷い目に会いました。
 
(アトラスラジオ・リスナー投稿 讃岐の白狐さん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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