第6代目ウクライナ大統領であるウォロディミル・オレクサンドロヴィチ・ゼレンスキーは、かつてコメディアンとして活躍していたという異例の経歴を持っている。
ソ連(当時)の一部であったウクライナ東部の町クルィヴィーイ・リーフで生まれた彼は、キエフ国立経済大学在学中に、ロシアのバラエティ番組「KVN」にウクライナ代表のアマチュア芸人として出演。
当初は法学を専攻し外交官を志していたゼレンスキーだったが、卒業後は本格的にコメディアンの道を進むことになり、1997年にはコメディ劇団「第95街区」を結成し、先の番組では若くして看板芸人の座にまで登り詰めた。
当時の評価では、持ちネタや個性が無いにもかかわらず、あらゆるお題にウィットに富んだ返しをしたり、司会者のいまいちなジョークも確実に拾ったりといった、いかなる場でも人々を湧かせることができるという能力が好評だったという。
ロシアのウクライナ侵攻にてゼレンスキーが注目される中、かつてのコメディアン時代であった彼のネタとして多くの人々に衝撃を与えたのが、なんといっても股間でピアノを弾くという芸だろう。
これは、正面に置かれたピアノにちょうど腰部分が見えなくなるように立ち、話しながらおもむろにズボンを脱ぎ、手を上にあげた状態で”股間”だけでピアノを弾くというもの。問題の部分はピアノに隠れて見えていないというのもポイントで、映像を見る限り会場は大爆笑ものだったようである。
この芸風については、何が面白いのか理解に苦しむという意見もあるだろう。ただ、欧州では「インテリがバカげたことをやる」というお笑いの伝統的なスタイルがあり、ゼレンスキーの芸もその一種にすぎないとの意見もある。
いわば、それをカバーするほどにトークなどのスキルが巧みであるとも言えるかもしれない。
そんな、一見政治とは無縁とも言える活躍をしていたゼレンスキーが、大統領になったきっかけはなんだったのだろうか。
2003年、25歳だったゼレンスキーは劇団「第95街区」を制作会社「Kvartal 95」に再編し、コメディ映画、テレビ番組、舞台といったより幅広い活動を展開するようになっていった。
その中で決定的な転機となったのは、2015年にウクライナの国営放送で放送されたテレビドラマ『国民の奉仕者』だった。
このドラマは、平凡な歴史教師が素人政治家として、なんと大統領に当選。陰謀渦巻く政界であっても、市民感覚を失うことなく悪と対決していく様をユーモラスに描いた社会風刺ドラマとして、ウクライナ国内で空前の大ヒットを記録。
すると、主人公を演じたゼレンスキーに対し、国民の中から現実の大統領へ出馬をして欲しいと熱望する声が高まるようになり、彼は劇団メンバーと共にドラマのタイトルを冠した政党を立ち上げた。
そうして迎えた2019年の大統領選でゼレンスキーは、実に73%という圧倒的な投票数を獲得し、まるでドラマが現実化するような形で大統領に就任するに至った。
【参考記事・文献】
・https://tonoculture.com/zelenskyy-piano/
・https://globe.asahi.com/article/14563817
・https://celeby-media.net/I0003480
・https://x.gd/ojFu3
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【文 ナオキ・コムロ】
画像 ウィキペディアより引用
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