『パーマン』といえば、藤子・F・不二雄の漫画作品であり、その作中に登場する超人的力を持つヒーロー「パーマン」たちの活躍を描くギャグコメディだ。タイトルからもおわかりの通り、スーパーマンのパロディとなっている。
主人公である小学生の須羽ミツ夫は、ある日ひょんなことから宇宙人のバードマンと出会い、「パーマンセット」をもらって正義の味方として活躍することとなる。しかし、自分がパーマンの正体であることは決して明かしてはならず、もし明かしてしまったら動物に姿を変えられてしまうという条件が課せられている。
この設定、実は後になって変更されたものとなっている。
パーマンは大きく1966年版(週刊少年サンデー)と1983年版(コロコロコミックなど)に分けられており、対象年齢層にも違いがある。そのうち、66年版で連載されていた当初は、正体を明かしてしまった際の代償として、「脳細胞破壊銃でクルクルパーにする」というあまりにも惨い条件が課せられていた。
この設定には、当時でもクレームが殺到したと言われており、83年版の連載からは、前述の通り動物の姿に変えられるという風に変更された。もっとも、連載のプロトタイプ時点ではより直接的なものとなっており、正体を明かしてしまったら「殺す」というものであったという。
そんな厳しい条件を課せられたパーマンたちと言えば、主人公であるパーマン1号、1号の実質的な相棒であるチンパンジーの子供であるパーマン2号、とある男勝りな女の子が扮する通称パー子ことパーマン3号、そして小太りで関西弁が特徴的なパーやんことパーマン4号からなる3人と1匹を思い起こすだろう。
だが、実はパーマン5号という幻のキャラクターがかつては登場していた。
通称・パー坊と呼ばれるそのキャラクターは、正体がなんと2歳の赤ん坊。ミツ夫と母親同士が同級生という関係だそうだが、ジェスチャーなどを駆使して相手と意思疎通を図る非常に賢い赤ん坊だ。
あるきっかけで1号であるミツ夫の正体を知られてしまい、これを危惧してバードマンに掛け合ったところ、強引にパーマンチームに入れられたというのが5号となった経緯である。
このパーマン5号は、66年版にて登場していたキャラクターであり、「パーマン5号誕生」というエピソードも設けられていた。ところが、てんとう虫コミック『パーマン』第3巻およびコロコロ文庫『パーマン』第2巻では、このパーマン5号が登場するコマが確認できるものの、なぜかいずれも「誕生」のエピソードが収録されていないため、何の説明もなく、いきなり見知らぬパーマンの一人が登場する流れになってしまっている。
パーマン5号については、66年版でしか登場しておらず、しかも登場した話数も計5話にとどまっている。
ある話ではわずか数コマの登場しかしていないのだ。そのため、まだ起用されていた時期ですら非常に印象が薄いキャラクターであり、言うなれば作者サイドにとっても扱いにくいキャラクターだったということだろう。
一説によれば、赤ちゃんということから、いくらパーマンと言えども危険なことはさせられないという行動領域の制限がネックであること、またそもそも正体が赤ん坊というのは意外性を狙ったいわば出オチのような登場に落ち着かざるを得なかったということが、5号の消えた理由として考えられている。
こうして、パーマン5号はひっそりとその存在を抹消されてしまったのだ。
【参考記事・文献】
・https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/42078.html
・https://wow-media.jp/w00010/
・https://taketakechop.hatenablog.com/entry/2018/11/12/185200
・https://note.com/shatoru0619/n/nee04eb9eb24b
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【文 黒蠍けいすけ】
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