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SFアニメ「新造人間キャシャーン」の名前物語 『お金』が由来の名前だった?

『新造人間キャシャーン』は、1973年から74年にかけて放送された吉田達夫原作、タツノコプロ制作のSFテレビアニメ作品。

同社制作の『科学忍者対ガッチャマン』に続く作品として企画されたが、「ガッチャマン」があまりの人気を獲得したために放送期間が延長され、同時並行で放送されることとなったという経緯がある。

「キャシャーンがやらねば誰がやる!」のナレーションはあまりにも有名。

作品は、世界征服を目論むロボット軍団「アンドロ軍団」に、ロボット工学者の父を持つ東鉄也が不死身の「キャシャーン」となって立ち向かうというストーリーである。元々、世界征服という考えに至ったロボットというのは、鉄也の父・光太郎が開発した公害処理用ロボットであり、落雷によって自我を持った結果「公害の原因である人間を処理すべき」との考えに至ったという事情がある。

こうした、人間とロボットの生存競争という側面を強く描いた本作は、「ガッチャマン」とは打って変わってシリアスなストーリーとなっており、数で攻める量産ロボット軍団、機械と人間の融合体となったがために主人公を迫害する無責任で身勝手な民衆、そしてキャシャーンだけでは戦局を変えられないという現実的な非情さなど、それまでのロボット作品にはなかった描写が多数用いられ、単純な勧善懲悪ものに留まらない内容となった。

このキャシャーンという名前の由来については、アニメ第1話にて東博士より「人類を平和に導く者、キャシャーンと名乗るが良い」という発言がされ、さらに実写映画版では「とある集落の護り神の名前」という設定がなされたものの、語源については明確に触れられていない。

これについては、「未来への財宝(キャッシュ)を捜す者」という意味であり、それを監督の笹川ひろしが「ガラスが割れた音、ガラスは割れると二度と元に戻らない(人間に戻れない主人公への比喩)」という解釈でとらえたということが、笹川の著作などで語られているため、有力とされている。

中には、「キャッシュ」ということから「世界で最も大事で強いもの、すなわちお金が由来」と解する意見や、それとは全く別に単純に主人公の体が華奢であることから「キャシャーン」なのではないかとの声もある。

そんな安直な命名をするのだろうか?と思えてしまうが、「ガッチャマン」に関して言えば、ガチャンという機械が合わさる音に由来するとも言われており、また朝鮮戦争時代に繊維工場が非常に儲かり、それを指して言われていた「ガチャマン」という言葉がルーツになっているとの説もある。

名前に関して言えば、メインキャラクターの中にも逸話がある。主人公の名前は当初、東鉄也ではなく「南譲二」となるはずだった。これは、南十字星に由来するネーミングであり、キャシャーンのただ一人の味方・理解者である上月ルナとともに、天文的言葉で関係性を持つはずだったという。

しかし、結果的に名前が東鉄也に変更されたために、名前同士が全く無関係なものとなってしまった。

この変更は、「ガッチャマン」ですでに南部考三郎(南部博士)というメインキャラクターが存在していることから、南に偏りすぎているとの理由での変更だったと言われている。

因みに、ロボット軍団の三大幹部はそれぞれ、情報を探る任務であることから「サグレー」、(ロボットを製造して)悪を生むことから「アクボーン」(悪・born)、軍事部長でありバラすことから「バラシン」と命名されたとのこと。

一見すれば安直としか思えないようなネーミングの数々ではあるものの、その裏では多くのスタッフが「意味を持たせる」よう設計するために頭を悩ませていたのは事実だろう。

【参考記事・文献】
https://x.gd/7Q7JH
https://x.gd/oefKm
https://kamayan.hatenablog.com/entry/20060611/1149959460
https://q.hatena.ne.jp/1157982251

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【文 黒蠍けいすけ】

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