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巨大ロボット漫画「鉄人28号」 28号⇒B29由来説は本当か?

鉄人28号は、横山光輝の漫画作品、そしてその作中に登場するロボットの名称。横山の代表作の一つとして知られ、1956年に月刊『少年』で連載開始、日本において「巨大ロボットもの」というジャンルを築き上げた名作となっている。

リモコンによって善にも悪にもなるロボットを巡り、金田正太郎という少年探偵と悪人たちの攻防を描く物語となっており、こんにちまで多数のリメイクや映像化がなされるほどに人気を衰えさせない作品となっている。『マジンガーZ』などで知られる永井豪も、本作の影響を強く受けているという。

鉄人28号というと、まず誰もが思い浮かべる疑問は「なぜ28号なのか」ということだろう。

もちろんこれは、「27号までは実戦に耐えられなかったから28号が完成した最強ロボなんでしょう?」という作中世界での事情ではなく、タイトルとして「28」がなぜ採用されたかという意味だ。

一般的には次のような説が語られている。すなわち、28というナンバリングは戦時中に日本に破壊をもたらしたボーイング社の爆撃機「B29」が由来である。「空の要塞」とも称されたこのB29の、巨大さ、そして強さが影響を与え、そこから28というナンバーが選ばれたのだ、と。

この説は、本作が戦後間もない時代に誕生したという事情もあって一定の説得力を有している。

ただ、それでもやはり「28」が選ばれた理由には至っていない。29にしなかったのは流石に敵国の爆撃機と同じ番号を採用するのは抵抗があったとの推測はできるものの、ではどうして30でもなかったのか。

このB29説は、雑誌インタビューにおいて横山本人も触れてはいるが、B29のイメージはありつつ「特別に選んだ数字ではない」というコメントに留まっている。結局のところ、因果関係は匂うものの根拠としては不完全だ。

ところで、鉄人28号は元々『鉄骨人間27号』という作品から始まった。これは、横山が貸本向けに描いた60ページほどの漫画であり、編集者に見せたところこの作品で以降ということになったのだが、「27より28の方が語呂が良い」という編集者の一声によって「鉄人28号」というタイトルが生まれたという経緯がある。

これで、28である根拠はますます曖昧なものとなったと言えるだろう。そもそも、横山の発言もインタビューによって異なっていることが確認されており「28という数字が何となく好きだった」というような発言すらある。

この他の説では、現代まんが図書館創設者の内記稔夫(ないきとしお)の「横山の住まいが28番地だと聞いた」というもの、金田少年が当時の巨人・金田正一投手の名前にあやかっているということから同じく巨人の捕手・森昌彦の背番号「27」から鉄鋼人間27号に起用された、等々・・・

結局のところある程度確かなことは、はじめは「27」だったが語呂の良さで「28」が採用されたという点だけだ。横山自身、コメントにおいて様々述べてはいるものの、選んだ根拠については最終的に「なんとなく」との程度であったことを語っている。

一方で、生前はこの質問を幾度となく問われたことは想像に難くない。そうした中で、立て続けに同じ質問に同じような回答で返すことに面倒さを感じ、結果、それらしい根拠づけとして後年に「B29」を後付けするに至ったのではないだろうかとも思えてくる。

【参考記事・文献】
https://tobuakaei.hatenablog.com/entry/10507084
https://togetter.com/li/1613401
https://dic.nicovideo.jp/a/%E9%89%84%E4%BA%BA28%E5%8F%B7

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【文 ナオキ・コムロ】

画像 ウィキペディアより引用