江戸時代の絵師、鳥山石燕の「画図百器徒然袋」にて紹介されている妖怪。
空穂は矢を入れて背負うための道具であり、古空穂はその口の部分に大きな目がつき、背負うための紐が前足になっているという獣のような姿になっている。
長年使われた器物は妖怪化すると言われているが、有名人や人の死に関わった器物もまた妖怪化しやすくなるという。古空穂に添えられた解説文によれば、古空穂は三浦介義明という武将が使っていた空穂が妖怪化したもののようだ。
ちなみに三浦介義明は弓の名手として知られており、かの九尾の狐を上総介広常とともに栃木県は那須まで追い詰め、退治したと言われている。
そんな大妖怪の退治に関わったからこそ、古空穂はふたたび主人に使ってほしくて細い手を前方に伸ばしているのかもしれない。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 ウィキペディアより引用