1969年から85年まで放送されていたザ・ドリフターズのコント番組と言えば『8時だョ!全員集合』。土曜日の夜を象徴するお笑い番組であり、全放送回数803回、1973年4月7日の放送で最高視聴率50.5%を記録した伝説のお化け番組として知られている。
撮影は毎週公開生放送で行なわれ、地獄とも称された長時間会議によって徹底的に台本が組まれていた。現在では安全面や予算面でも不可能な演出が当時は多々用いられ、舞台のセット上に車が走るといったものや、通称「屋台崩し」と呼ばれるオチでセットが崩れる際に客席へはみ出すなど、コント番組としては前代未聞の構成となっていた。
ビートたけしと明石家さんまによる裏番組『オレたちひょうきん族』は、あからさまに全員集合に対抗する形で誕生したことはあまりにも有名である。
芸事に極めて辛口であることで知られた立川談志は、ひょうきん族に比べて全員集合を非常に高く評価しており、誰もまねできるものではないと自著『談志百選』などで語っているほどである。
全員集合は、徹底して練り込まれた台本をもとに生放送で行なわれていたが、やはり生放送という性質上ハプニングやアクシデントが幾度も発生しており、特にハプニングは観客だけではなく視聴者もその様を目撃する事態が多かった。
メンバーの不祥事や事故によって一時的に欠けてしまうこともあった。
例えば、1970年には加藤茶が逗子海岸を走行中にわき見運転で交通事故を起こしてしまい入院、同乗者の女性や相手方3名も重傷を負ったことで1ヶ月ほどの謹慎の処分を受けることになった。
1981年には、仲本工事と志村けんが競馬法違反(ノミ行為)によって逮捕されたことでしばらく謹慎処分、これによって当面いかりや長介、高木ブー、加藤茶の3人だけで番組が放送されることとなった。
1985年は、リハーサル中に高木がアキレス腱を断裂してしまい、4ヶ月も活動休止状態となってしまい、一時は高木からドリフ脱退の意向も聞かれたという。
ハプニングとして有名なものでは、1984年、老婆に扮する志村けんがトイレの壁を突き破った際に、予定では傾いて止まるはずだったトイレのセットがそのまま倒れて志村に直撃。加藤が「大丈夫か」と慌てながらセットを起こすと志村が腰を抑えて脱出、「あれまで落ちる予定じゃなかったでしょ!」と叫ぶ一幕があった。
加藤はこの時、番組が始まって以来「初めて死人が出た」と思ったという。
1977年5月14日、ジャングル探検隊のコントが行なわれた際、小道具の蛇が探検隊に襲いかかる中、ゲストの西城秀樹が蛇に向かってピストルで発砲し応戦した。すると、発砲した際に出た火花がその蛇に引火してしまい、燃えだした。しばらくの間メンバーは背を向けていたために気付いていなかったが、観客が徐々に異変に気が付き、メンバーたちが「山火事だ」と騒ぎ出すこととなった。
そして、最もよく知られるハプニングといえば、1984年6月16日の冒頭に発生した停電だろう。
入間市市民会館で行なわれたこの日の収録では、放送開始早々真っ暗な画面に番組のロゴが映し出されるという異様なものとなった。これによって会場内は演者を含め大騒ぎとなり、回復したかと思えばまた消えるという挙動が繰り返され、ついには懐中電灯を使用して改めて開始され、「8時9分半だよ!」といういかりやの掛け声で通常より速いテンポでオープニングが演奏されることとなった。
この停電は、会場の外から繋いでいたトラックの発電機のシールドが、何者かによって抜かれたために発生したことが原因であったということが、後年加藤などによって語られている。どうやら、会場に入れなかったことを逆恨みした客によるイタズラであったということだったようだ。
因みにこの日、プロ野球の中継放送があったために、裏番組のひょうきん族が休止されていたことで全員集合にチャンネルを合わせていた視聴者が通常よりも多かったことが、このハプニングを伝説的なものとして語られる要因の一つにもなったと考えられている。
余談だが、かつてある番組にて加藤が、本物のライオンを舞台に上げた回があり、近付いた加藤が頭を噛まれたものの、ライオンの歯が折れてしまい無傷だったと語っていたことがあった。
この話は詳細がよくわかっていないため、いつの放送回であったのか、あったとしてリハーサルでのことだったのか詳細は不明となっており現在確認中である。
【参考記事・文献】
・https://zatugaku.arafuka1582.com/geinou20190822/#toc10
・https://stonefree130.com/shimuraken-horseracing/
・https://www.jwgigharbor.com/8jidayo-3/
・https://funfact-notes.com/drifters-comedy/
・https://www.rbbtoday.com/article/2017/04/22/151081.html
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【文 ナオキ・コムロ】