呪い

【山口敏太郎の呪物コレクション】鬼の像

【鬼の像】

千葉県成田市の骨董品屋で購入した鬼を象った彫像である。かつて、修験者がこれを担いで山に登り、山頂に設置して御来光と共に拝んでいたと言われている。

ただし、この品は片腕が欠損している。のちに、腕を付け加えた跡が残されている。

【修験道と鬼】

修験道と鬼の関りは、その開祖である役小角にまで遡る。人々の厄を祓い、また神をも封じたと言われる伝説が残る役小角は、前鬼・後鬼という2体の式神(あるいは弟子)を従えていた。奈良の生駒山の伝承では、この夫婦の鬼は人々に自分の子供たちを殺されたことで災いをなしていた存在であったが、役小角により改心をしたのだと言われる。

また、天狗は修験者がモデルとなったという説もあるが、前鬼がのちに「大峰山前鬼坊」と呼ばれる天狗になったという言い伝えが奈良の大峰山に残っている。因みに、両鬼は真言の「阿吽」の関係にもなっているという。

(写真:大内かっぱハウス2F 山口敏太郎妖怪博物館)