世界中に約100万種は生息しているとされる昆虫。我々の生活にも身近なありふれたものから絶滅が危惧される希少なものまである。
数多くの種類が生息している昆虫の中で、世界で最も希少な昆虫と言われているものが、ロードハウナナフシ。
日本に生息しているナナフシは細く、枝に擬態しやすいものとなっているが、ロードハウナナフシは体や後脚が太く頑丈なものとなっている。また、ナナフシ類には基本的に翅があるが、この種には翅がない。大きさは約15センチほど、全体的なシルエットから「land lobster(陸のザリガニ)」「walking sausage(歩くソーセージ)」との異名もある。
画像のナナフシはオーストラリアとニュージーランドの間に発見された小さな島、ロード・ハウ島近くの小島、ボールズ・ピラミッドにのみ生息している固有種である。
本来はロード・ハウ島にも棲息していたのだが、補給船が上陸したさいにこれまで島にいなかったクマネズミが生息して繁殖、絶滅してしまうことになった。ロード・ハウ島本島では1920年に最後の個体が確認され、以降は絶滅してしまったと考えられていた。
しかし、1960年代にボールズ・ピラミッドを訪れていたクライマーがロードハウナナフシの死体を発見。2001年に昆虫学者と自然保護団体からなる調査隊が上陸して調査を行ったところ、ロードハウナナフシの個体群が発見された。
ちなみにこの時発見された個体群はわずか20〜30個体ほど。現在はオーストラリアにて飼育・繁殖が行われており、個体数を増やしてロード・ハウ島へ再導入し、種としての個体数が確保できるよう考えているという。
非常に少ない個体数ではあるが、2017年にも沖縄科学技術大学院大学らの研究グループがボールズ・ピラミッドにて20匹ほどのロードハウナナフシの棲息を確認している。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 ウィキペディアより引用