アメリカの、ひいては世界の趨勢をも左右すると言われるアメリカ大統領選挙の結果がもうすぐ発表となる。初の女性大統領として民主党のカマラ・ハリス候補が当選するのか、それとも暗殺未遂事件を経て共和党のドナルド・トランプ候補が返り咲くのか。既に日本時間11月6日16時の時点でトランプ氏が勝利宣言を行っているが、トランプ氏当選の背後で動いている陰謀が存在している事をご存じだろうか・・・
選挙の数か月前よりアメリカ国内で囁かれるようになった計画、それが「プロジェクト2025」と呼ばれる計画だ。
その主な内容は経済・社会政策、連邦政府とその期間の抜本的な改革を想定しており、その内容は多岐にわたる。中絶及び避妊の禁止、無過失離婚の廃止、貧困者・高齢者・障害者への支援の廃止、女性の選挙権の剥奪(男性は世帯ごとに1票)、企業行動からの保護の撤廃、中流階級への増税と富裕層および企業への減税/撤廃などなど、近年何かと話題になる医療福祉やジェンダー問題などにも触れている。
早い話が「バイデン政権によって実施・検討されたほぼすべての事柄を取り消す」ことを目的としたものともいえるが、どちらかと言えば保守的なキリスト教的価値観の浸透と社会の確立を目指すものと受け止められているようだ。
二大政党制のアメリカでは、政権与党が変わると大胆な方針転換がなされることもあるが、この「プロジェクト2025」の内容はそういった「揺り戻し」とは言えない内容であるため、多くの識者が危険視している状況である。
「プロジェクト2025」はアメリカの保守系シンクタンクであるヘリテージ財団やその他保守派組織が中心となり、次期保守派大統領が就任したときに自分たちの計画を実行するために2023年から成立されたものとされている。
ヘリテージ財団のケビン・ロバーツ会長は財団の現在の役割について「トランプ主義を制度化する」ことを主目的に掲げており、2023年4月に元トランプ政権関係者によって書かれた932ページもの「命令書」を出版している。また2024年以降のトランプ陣営もこの命令書やトランプ主義に基づいた「アジェンダ47」を公式計画として掲げており、ヘリテージ財団及び「プロジェクト2025」はトランプ氏と密接なつながりがあると言える。
そうなると次に気になるのは、この「プロジェクト」の内容がどこまで実際の政策や国家運営に反映されるのか、という点だ。
「プロジェクト2025」は前述したように非常に保守的なキリスト教的国家主義を国内政策の中核に据えるものであるため、この計画が実行に移された場合、法の支配や三権分立、政教分離及び公民権を損なう権威主義の始まりとなりうる、と多くの政治学者や評論家が懸念を表明している。
一方で、「プロジェクト2025」はトランプ陣営が勝利を得るために掲げたわかりやすい、見せかけの計画書に過ぎないという保守派や共和党系からの反論もある。
だがもう一方では、今回の大統領選でのトランプ氏の周囲には陰謀論者として有名な人物が多数存在していたり、トランプ氏本人も「ディープ・ステート」等の存在を口にするなど、陰謀論に対して非常に親和性の高い状態にある事も留意しておく必要があるだろう。
果たして、大統領選の後新しくリーダーとなった人物によってアメリカがどのような方向に動いていくのか。注意していく必要がありそうだ。
(加藤史紀 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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