事件

死の天使と呼ばれたナチスの医師「ヨーゼフ・メンゲレ」の双子人体実験

ヨーゼフ・メンゲレは、1930年代にナチスへ入党したドイツの医師で人類学者。世界でも最大級の犠牲者を出し、かつその90%の収容者がユダヤ人であったことでしられるアウシュヴィッツ収容所に於いて、いわゆる非倫理的な人体実験を行なった人物。

当初、武装親衛隊に志願していた彼は軍医として前線に参加していたが、負傷によって前線から外れ、1943年からアウシュヴィッツ収容所に配属された。そこで彼は、収容所へ送られてくる囚人たちの選別をする役目をして、多くの人々をガス室へ送った。

そんな「死の天使」との異名を持っていた彼は、多くの人体実験を行なっていたことでも知られている。

眼球に染料を注入することで目の色を変えられるかどうかを確かめたり、ガソリンを注射しその経過を観察したり、故意に病気を感染させてみたりと、その内容は今日でも悪名高い残酷なものとなっている。

特に、彼の関心は、双子という存在に対して向けられていた。

1944年ごろから、彼は双子への人体実験を行なうようになり、たびたび研究室で「双子はいないか」と言っていたという。彼は、非常に顔立ちも良く普段は親切に接していたことから、「おじさん」と呼ばれ親しまれていた。しかし、そうして笑顔で接していた双子たちが数日後には実験台となり、彼が何食わぬ顔で実験を施していたというその様は、同僚でさえ理解に苦しんだようである。

双子の実験は、ドイツ人・アーリア人の量産計画に基づいていたと言われているが、それがナチスやヒトラーの意思であるのか、それともメンゲレ自身の野望であるのかは定かではない。しかし、彼の双子への執着は否定し得ないものであった。

はじめ、彼の双子の実験は単に違いを観察する程度のものであった。だが、だんだんと実験はエスカレートしていき、ついには信じがたい実験をも行なうこととなった。それは、双子を人工的に結合させるというものであった。

人体の一部を共有して誕生する双生児は、実際いくつもの例がある。枯葉剤の影響で誕生したことで有名なベトちゃんドクちゃんが有名かと思われるが、なんとメンゲレは双子の体を縫い合わせて人工的な結合双生児を造り出していたという。

痛みと苦しみにもがいたその双子の様が見るに堪えないと、自らの手で殺害した親もいたと言われている。結果、彼が実験台にした双子はおよそ3000人、うち生き延びたのは200人程度であったという。

しかし、1945年1月、収容所にソ連兵が接近していたことによってマチスはアウシュヴィッツ収容所を証拠隠滅のために爆破、多くの資料が処分され、同時にメンゲレも逃亡を図ることとなった。彼は、スイス、イタリア、南米アルゼンチンなどへ渡り潜伏をしていた。1979年、ブラジルの海岸にて水泳事故で溺死した男性が当地で埋葬されたのだが、のちの調査によってこの男性がメンゲレであることが法医病理学分析によって判明した。

ところで、双子に執着したメンゲレについては、とある都市伝説が囁かれている。

ブラジルの奥地に、カンディド・ゴドイという集落が存在するのだが、その集落では双子が生まれる割合が非常に高いことで知られている。噂によると、1960年代にこの地をメンゲレが医師として訪れ、何らかの薬を処方していったのだと言われている。

つまり、メンゲレが双子の出生を高める何らかの薬物を住民たちに投与したことで、この集落では双子があまりにも多く誕生するという、なんとも恐ろしいものとなっている。

しかし、実際これは単なる噂にすぎなかったと言える。

この集落の記録は1920年代から始まっているが、その頃から双子の出生率の異常な高さはすでに指摘されていた。また、メンゲレが訪れたと言われる1960年代において、その出生率が更に爆発的に増えたといった結果も見られていない。

この集落の周辺にある別の集落でも双子の出生率が高いという報告もあり、それは水や食物といった自然あるいは生活的な要因が双子の出産を誘発しているにすぎない。

しかしながら、資料も抹消され、かつ逃亡により空白の期間を生き延びたメンゲレに、まだまだ多くの謎が残っていることには違いない。

【参考記事・文献】
ヨーゼフメンゲレ 南米に逃亡したナチス狂気の医師
https://kusanomido.com/study/history/western/59549/
ヨーゼフ・メンゲレの人体実験とは?実在したナチスドイツ「死の天使」
https://cherish-media.jp/posts/10590
アウシュヴィッツの「死の天使」ヨーゼフ・メンゲレ博士に関する11の事実
https://x.gd/wEldq
「ナチの双子」伝説、事実無根か
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/1990/

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【文 ナオキ・コムロ】

画像 ウィキペディアより引用