江戸時代の絵師、鳥山石燕の「百器徒然袋」にて紹介されている妖怪。
時代劇などでみる、顔をすっぽり隠して尺八を吹いて歩く虚無僧のような姿をしているが、顔を覆うのは傘ではなく酒を飲むときに使うお猪口だ。
お猪口は酒の席で皆で使うものであるため、複数個でワンセットになっていることが多い。この猪口暮露もまた、使い古された一揃いのお猪口が一斉に妖怪と化して行動したものといえるだろう。
暮露とは江戸時代、虚無僧のことを指す言葉でもあった。
猪口暮露の名前は、この妖怪のもとになった道具が使い古されてすっかりぼろぼろになってしまっていることと、虚無僧に似た見た目になっていることをかけているのかもしれない。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 ウィキペディアより引用