ジャッカロープは、北米に伝わるという未確認生物(UMA)の一種である。名前は、ノウサギを意味する「ジャクラビット」とカモシカのようなウシ科の哺乳類の一部総称である「アンテロープ」(羚羊)の名を混成させたものであるが、その名の通りウサギのような見た目に角が生えている姿をしており「つのうさぎ」とも呼ばれている。
特徴もかなり個性的である。ウイスキーが好物で、メスのジャッカローブから取れる乳は万病に効く薬にもなり、キャンプファイヤーをしていると時折参加し、人の声真似が得意であるという。月夜の晩に酔っ払った人にだけ見ることができるとも言われている。
北米のUMAは、ネイティブアメリカンなどにも伝承が残っていることが少なくないが、このジャッカロープについてはそうした原住民の伝承には一切登場していない。
よく語られるものとしては、西部開拓時代にカウボーイたちがキャンプファイヤーをしていると人の声真似をして寄ってきたのだという。また、ジャッカロープは恥ずかしがり屋でこちらから近づこうとすると逃げ出し、その速さは時速90マイルにも及ぶ。
その一方で、ウイスキーが大変に好物であり、ウイスキーを入れた器を差し出すとたやすく捕まえることもでき、肉はロブスターのような味であるという。雹を含む雷雨の時にだけ繁殖するため、非常に希少な動物であるとも言われている。
ジャッカロープの伝説が残っているのは、主にワイオミング州であり、そこがジャッカロープの生息地ではないかとも言われている。
同州のダグラスという町には、1829年に初めてジャッカロープが発見されたと言われており、町の中心部にはジャッカロープの像が立ち、「ジャッカロープ狩猟免許」なるものの取得も商工会議所にて可能であり、大々的に「ジャッカロープの町」を自称している。日本で言えば、ヒバゴンやツチノコのような町興しとして象徴されるようになったUMAであると言えるだろう。
だが、このジャッカロープの大元は実のところ創作であったことが現在ではほぼ判明している。ダグラスの商工会議所によれば、1930年代にノウサギの狩猟で訪れたヘリックという名の兄弟が剥製を置く店を訪れた際に、ノウサギと鹿の角が隣同士で置かれていたことで、かけ合わせのアイデアを生み出したのだという。
兄弟は剥製について学んでいた経験もあり、ジャッカロープの剥製を作り上げて10ドルで売却をし、その剥製は現在でもダグラスの「ラ・ボンテ・ホテル」に展示されているのだという。
しかし、作り物の剥製であったはずのジャッカロープが、存在しているのではないかと思われる情報も存在しており、2005年にアメリカでジャッカロープのものと思われる死骸が発見された。その様はまさしく角の生えたウサギの姿であり、ついに本物のジャッカロープが発見かと話題となった。
しかし、実はこの角の生えたウサギの死骸は、調査の結果「ウサギ乳頭腫ウイルス」による病気によるものであることが判明した。角とされたものは実際のところ成長した「イボ」であり、しかもウイルスの存在は19世紀末にはすでに知られていたものであったのだ。
日本語には「とにもかくにも」という言葉があるが、この言葉は漢字にすると「兎にも角にも」となり、その語源は「亀毛兎角」(きもうとかく)からきている。本来は南北朝の時代、亀に毛が生え兎に角が生えるような異常事態が起こるのは戦乱の凶兆であるという意味を持っているといわれ、さらに仏教でも「あり得ないものの喩え」としての意味で使用されていたという。
いわば、あまりよろしくないイメージで説かれていた「兎角」が、まさにアメリカで、しかも反転した形で愛されているというのも不思議なものである。
【参考記事・文献】
モフモフしたくなる未確認生物ジャッカロープ
https://chahoo.jp/jackalope/
Jackalope
https://cryptidz.fandom.com/wiki/Jackalope
「ジャッカロープ」とは?元ネタは神話だった?実在する?
https://goiryoku.com/zyaltukaro-pu/#i
ジャッカロープ
https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%97
角の生えたうさぎは実在するか?乳頭腫
https://www.medirabbit.com/JP/Skin_dis_jp/Viral/Papilom/Papillo_jp.htm
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【文 ナオキ・コムロ】
画像 ウィキペディアより引用