モンスター

英国空軍が目撃?!ノルウェーの森で撮影された「マウンテン・トロール」の真相

1942年、ノルウェーのベルゲンから北に約300マイル(483キトメートル)離れた森に、奇妙な存在がいるのをイギリス空軍の偵察機乗組員が目撃しカメラに収められたという。

その存在は、眼下に広がる森の木々に比べても非常に巨大で、霧に覆われたような背景にうっすらと浮かびあがる人型の何かであった。この奇妙な写真は、通称「ノルウェーのグレート・マウンテン・トロール」と呼ばれ知られている。

トロールとは、北欧、特にノルウェーの伝承に伝わる妖精の一種と言われている。神話に登場する存在であり、毛むくじゃら、角、赤毛など様々な容姿で語られることから、自由に姿を変えられるのではないかとも言われている。

また一方で、作物や森林地に危害を与えるといった悪意ある存在との言い伝えもあり、太陽に照らされると石になってしまうといった対処法も語られ、さらにはザシキワラシのように気に入った家には富と幸運を授けるという良き妖精の言い伝えもあるなど、多様なスケッチがされている。

さて、冒頭で触れた問題の写真は、その通称にあるとおりノルウェーで撮影されたグレート・マウンテン・トロール、すなわち巨大なトロールの姿をおさめたものであるという。写真提供者は、ルーシー・レイノルズという人物で、彼によるとこの写真はそのトロールの存在を証明する唯一の写真であるとし、1942年の12月にイギリス空軍の乗組員が撮影したものであるとのこと。

写真は、彼女が運営するWEBサイトに2012年7月31日付で「Tales from the North: Norwegian Mountain Troll」というタイトルで投稿された記事に掲載されたものが最初であるとされ、彼のキャプションが事実であるならば、実に70年以上の時を経て公開されたものであるということになる。だが、撮影者が誰であるか、そもそもこの場所がどこであるのかについて具体的な説明はなされていなかった。

実のところ、現在このマウンテン・トロールの写真は完全なるフェイクであることがわかっている。この被写体となる人型の影は、2010年に公開されたモキュメンタリー映画『トロールハンター』の一コマを切り抜いて加工、および合成を加えたものにすぎなかったのである。このことは、RedditのユーザーJunglist 313という人物によって鮮やかに証明されることとなった。

そもそも、ルーシー・レイノルズのWEBサイトは加工された写真が多く用いられているという。現在は既に彼女のWEBページも無くなっているため、どのような趣旨で運営されていたかは定かではないが、「Lucy Reynolds Art」という名称であったことから、アートとして加工画像を公開していた可能性は高い。

そんな彼女によってもたらされたこの画像が、のちにファンであった閲覧者もしくはイタズラ心を抱いたユーザーによって広められていき、不可解な写真として知られるようになっていったというのが真相であるようだ。

実はこれ以外にも、彼女のページが元になって広まったノルウェーのトロール画像があるとされており、1939~1945年ごろにドイツの装甲師団がノルウェーでマウンテン・トロールと交戦している様子を撮影した写真なるデータも出回っていた。例に漏れず、これも同じ映画を基にした加工画像であり、しかもポスターに掲載されているトロールの姿が用いられていた。

ネットにおいて都市伝説の伝搬を垣間見るような話題の一つである。

【参考記事・文献】
1942: Royal Air Force Photographs a Norwegian Troll
http://anomalyinfo.com/Stories/1942-royal-air-force-photographs-norweigian-troll
1939~1945年:ドイツ軍がノルウェーのマウンテントロールに遭遇
http://anomalyinfo.com/Stories/19391945-german-troops-encounter-norwegian-mountain-troll
謎のトロール写真 ~ グレート・ノーウィージャン・マウンテン・トロール
https://www.crypto-f.com/2020/05/blog-post_31.html

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【文 ナオキ・コムロ】

画像 ウィキペディアより引用