妖怪・幽霊

女郎蜘蛛伝説の残る静岡県伊豆市の心霊スポット「浄蓮の滝」

浄蓮(じょうれん)の滝は、静岡県伊豆市湯ヶ島にある滝である。かつて滝付近に浄蓮寺という名の寺院があったことからその名前が付いたと言われているこの滝は、高さ25m、幅7m、深さ15m、樹木生い茂る深い森の中にあり、夏でも肌寒さを感じる水しぶきを放ち続ける。

日本の滝百選の一つにもなっている名瀑としても有名であり、石川さゆりの代表曲「天城越え」のモデルにもなったと言われている。

浄蓮の滝は、古くから女郎蜘蛛の伝説が語り継がれており、かつてアニメ『まんが日本昔ばなし』でも放送されたことがある。ある時、樵(きこり)が浄蓮の滝の木を切っていた時、滝壺に落としてしまった斧を回収するために滝壺の中に潜っていった。

すると、そこに女性が現れ、浄蓮の滝の木々を切るのをやめること、そしてこのことを誰にも話してはいけないと樵に説いた。女性は、滝の主の女郎蜘蛛であると名乗り消えて行ったという。その後、酔った拍子で仲間に話してしまった樵は、その後眠りについたまま目を覚ますことは無かったという。

こうした恐ろしい伝説もあってか、浄蓮の滝は少々マイナーではあるものの心霊スポットとして紹介されることがある。滝などの水場に霊が集まりやすいというのはよく聞かれる話であり、滝壺というと飛び込みなども連想してしまうが、具体的にこの滝で自殺などの出来事があったという話は噂でも殆ど聞かれていない。

心霊スポットとして浄蓮の滝で聞かれる心霊現象は、たびたび「心霊写真が撮れる」ということらしい。観光地ということもあって写真の撮影は多くなされるであろう地であるが、その中には手が消えている、足が消えているといったものから、手足が異様に細長くなって写るという噂がある。これは、女郎蜘蛛の伝説による蜘蛛を連想させたものであることは容易に想像がつく。

心霊スポットという括りからすれば、少々インパクトに欠けるスポットとも思えるだろうが、おそらくは滝という物理的に危険が伴いやすい地形ということと、そして何より女郎蜘蛛伝説という不気味さから噂されるようになったものであると考えられるだろう。

霊を目撃したという噂はまず聞かれないスポットではあるが、大滝であることに変わりはなく、非常に深い滝壺もある。夜間でも訪れることが可能となっているが、くれぐれも足元には充分に気を付けて欲しい場所である。その際は、伝説にも語られる足に糸を巻き付けてくる蜘蛛には注意して欲しい。

因みに、浄蓮の滝の近くには、日本最長の石造りトンネルといわれる旧天城隧道(トンネル)があるが、むしろこちらの方が心霊スポットとしてはよく知られた場所となっている。

【参考記事・文献】
狩野川上流にかかる伊豆を代表する名瀑布
https://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?pid=2508
美しくも恐ろしい名爆「浄蓮の滝」。伊豆天城に伝わる女郎蜘蛛の伝説とは
https://www.tabirai.net/localinfo/article/article-12064/
浄蓮の滝|ウワサの心霊話
https://sinreikousatu.jp/zyourennotaki-sinrei/
浄蓮の滝って心霊情スポットなの?女郎蜘蛛伝説と心霊情報を調査してみた!
https://scary-story.net/sinrei-suppto/sizuoka-zyourennotaki/

【文 ナオキ・コムロ】

画像 ウィキペディアより引用