謎めいた石像で知られるイースター島は、人口爆発した原住民がもたらした持続不可能な環境破壊による文化崩壊の例としてよく引き合いに出される。
特にイースター島の人々は、ロックガーデン(農作物を栽培する場所)を作り、巨大な石の頭を移動させるために、すべての木を伐採したと考えられている。そのため、最初のヨーロッパ人探検家が到着したときには、原住民はほとんど残っていなかった。
しかし現在、新たな研究によって、イースター島の人口は元々それほど多くなかった可能性が示唆され、このシナリオ全体に重大な疑問が投げかけられている。これまでの調査では、島の人口は最盛期には17,000人に上るとされていたが、島民のロックガーデニング遺跡に焦点を当てた新たな分析によると、人口は3,900人を上回らなかった可能性があるという。
言い換えれば、イースター島の人々は常に身の丈にあった暮らしをしていたのかもしれない。コロンビア大学の共著者ディラン・デイヴィス博士は、「私たちの研究によって、この島が数千人以上の人口を維持することは不可能であったことが確認されました」と語る。
島のあちこちに点在している巨大な石の頭でさえも、少ない人口によって作られ、移動させられた可能性がある。”エコサイド”(生態系破壊)を主張する主な論拠のひとつは、モアイ像をすべて作るには人口が非常に多かったに違いない、というものだ。
考古学的な証拠は、モアイ像の存在が人口の多さを裏付けるものではない。モアイ像自体の研究から、小規模の人口でもモアイ像を作り、移動させることができたことが示唆されている。
【文 黒蠍けいすけ】
Marlene HanssenによるPixabayからの画像