※下記は2019年1月の記事の再掲載です。
富山県高岡市の「鬼のミイラ」(https://mnsatlas.com/?p=22393)をはじめ、日本の各地の寺や博物館には様々な鬼や妖怪のミイラが所蔵されている。
今回、ご紹介するのは1925年(大正14年)5月29日の読売新聞に掲載された「鬼のミイラ」である。
写真を見ていただくとわかるが、頭に角らしき突起物が2本生えており、またその頭は人間のそれより2倍ほど大きいようだ。
記事によると、このミイラは紀伊の国(今の和歌山県)にある「八鬼山」で文久元年(1861年)に発見されたものだという。
八鬼山はかつて凶暴な鬼が住んでいたとされており、ものの話によると、この鬼のミイラは日本各地に数多くの「鬼神討伐伝説」が残っている武官・坂上田村麻呂(758~811)が退治したうちの一体だと説明されており、その伝承が本当ならばこの鬼は少なくとも平安時代に退治されたもので、10000年にわたり、そのまま腐らずに残されていたものと思われる。
なお、このミイラだが記事によると東京にやってくる予定があったそうで、「今度、浅草青年佛教傳道會堂で公開が決まった」と書かれている。
浅草で見世物を見せる場所といえば、かつて浅草公園内にあった「珍世界」という見世物が有名であるが、記事を見る限り「珍世界」とは関係がなさそうである。
なお、このミイラが本当に浅草で公開されたのか、また実際に観た人の感想などは見つかっておらず、このミイラが今、どこで保管されているのかはわからない。
大手新聞に掲載された謎の鬼のミイラ。果たして、このミイラの正体はなんだったのだろうか……。
(文:穂積昭雪 山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)