画像『SEIKO STORY~80’s HITS COLLECTION~』
1983年、デビュー3年目であった日本のアイドル歌手:松田聖子は人気絶頂の真っただ中だった。この年の3月28日、沖縄市の市営体育館で彼女のコンサートが開催されたのだが、彼女が熱唱するそのさなかステージに突如として男性が乱入し、手に持っていたスチール製の棒を振りかざし、彼女の頭部を数度に渡り殴打した。
この暴漢の乱入に会場は騒然となり、駆け付けたスタッフたちによって男性は取り押さえられた。松田聖子は打撲や軽い裂傷を負っただけで命に別状はなかったことは幸いであったが、人気絶頂期のアイドルが襲撃されたというこの事件は、全国の茶の間に衝撃を与えることとなった。
犯人の男性は、埼玉県に住む19歳の少年であった。
82年に高校を卒業してからノイローゼ気味になっており、精神病院へ入院していたという。松田聖子の大ファンであったという犯人は、外出許可をもらったことで沖縄コンサートのツアーに参加。その犯行の動機は、「彼女を殴れば自分も有名になれる」というあまりに稚拙なものであり、沖縄到着後に陳列ケース棚を支えるためのステンレス製の金具を購入したと供述していたという。
コンサートが開始して1時間ほど経過した頃、『渚のバルコニー』の歌唱中のことであった。サビに差し掛かったその時、ステージの下手からまるでスタッフであるかのように詰め寄ってきた犯人が彼女の腕をつかみ、40センチメートルほどの金具で彼女の頭部を5-6回ほど殴り続けたのである。
襲撃時の彼女の様子は、その後に生放送が予定されていた『ザ・トップテン』の中継に訪れていたテレビカメラに一部始終収録されており、観客の混乱の様子が生々しく映し出された。なお、この映像は現在に至るまで再度放送されたことはなく、ある種貴重な映像となっている。
襲撃された松田聖子は、失神した状態ですぐさま病院へ運ばれた。気が付いたころには体を震わせ涙を流すほどに、精神的なショックが大きかったという。コンサートも中止となり控えていた全国ツアーも中止となったが、8日後の4月5日には熊本のステージに立ち、早い立ち直りを見せることとなった。しかし、沖縄に対する恐怖心は長らく抱いていたようであり、再び沖縄の舞台に立ったのはこの事件から24年後の2007年である。
なお、衝撃的な体験から驚異的なスピード復帰を見せた松田聖子であるが、このことに起因してかある噂も囁かれるようになった。
前述した通り、彼女のけがは幸いにも軽いものであったのだが、そのことからこの襲撃自体が注目を集めるための茶番だったのではないか、という噂である。当時の映像を見た者の中には、「そこまで大きなけがを負わせるような殴り方には見えない」という意見もあることから、自作自演だったのではと主張する声も一部では散見された。
当然ながらこのことは信用を描くデマであり、その出所は不明である。
【参考記事・文献】
コンサート中 暴漢に襲われた松田聖子
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geinox/148117
【放送事故伝説】トップアイドルが暴行される一部始終を、カメラが押さえていた
https://www.excite.co.jp/news/article/Real_Live_39946/
松田聖子…暴漢事件の詳細と犯人の驚くべき動機とは?!
https://gossip-history.com/g01154/
(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)