<壁に浮かび上がる黒いシミ>
これは私の妻が学生だった時の体験です。
妻の友人の父親が自殺してしまい、それ以降しばらくその友人の家に遊びに行くこともありませんでしたが、混乱の時期を乗り越え、やっと行ってみる決心をしたそうです。
友人の家族の居る居間へ入るのは久しぶりの事で、友人の家族がやさしく迎えてくれました。
前と変わらぬ馴染みのある部屋を見まわすと、妻は部屋の壁に違和感を感じたのです。
以前にこの部屋に入った時には無かった黒いシミが壁にあり、その黒いシミをまじまじと見ているとなにか人の形みたいに見えてくるのです。
友人がまじまじと壁を見ている妻に気が付いて話しを始めました。
その黒いシミは父が亡くなった直後にできたもので、最初は小さなシミだったのですが、シミの大きさは次第に大きく広がり、ある時にそのシミの形が亡くなった父に似ていると家族で言い始まったのだそうです。
最初は、そのシミの形は父の横顔に似ており、現在ではおなかの出た父の上半身を思わせる形にまで大きくなっていったのだそうです。
そのあまりにも現実離れした話に鳥肌がたち、亡くなった父の形のシミいついて笑いながら話す友人にも、この状況は笑って済まされるものなのかと疑問を感じ、苦笑いするしかなく、その後に友人宅を訪問する事はなかったそうです。
その後はその壁のシミが今どうなっているのか、知ることもなかったそうですが、時を経てその不思議な出来事を思い出すそうです。
(アトラスラジオ・リスナー投稿 元葬儀屋さん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
Enrique MeseguerによるPixabayからの画像