スピリチュアル

「死人が弾くピアノの音を聴いた」「生き霊か幽体離脱したおばあさんに挨拶した」

死人が弾くピアノの音を聴いた話

これは正確な年代は不明ですが、サラリーマンを辞めて新宿の花屋でアルバイトをしていたころの話なので、1995年位の出来事でしょうか。私は25歳位でした。

上京後住んでいた三鷹からいくつかの部屋を経て、当時は西新宿近くの渋谷区本町(ほんまち)あたり、細い一方通行の路地に面した、南北に長い土地に2棟建ったうちの道路側、昔は駄菓子屋か何かの小さな商店だったであろう造りの4枚木製ガラス引き戸が玄関で、入ると10畳ほどの土間があり、奥には和室と水場があり、同じ間取りが道路沿いにもうひと部屋並んた、“ザ・昭和!”な造りの家に住んでいました。

北側にあるもう一棟も木造モルタル造り鉄の外階段の古いアパートで、当時でもあまりに古すぎて住む人がなかなか現れないような建物でした。

私が住んでいた部屋の隣に私の友達も住んでいて、その友達の知り合いが北側の古いアパートの2階に引っ越してくることになりました。

彼はN君と言い、おだやかな雰囲気のピアノが得意の私と同年代の青年で、ピアノを置ける格安物件を探した結果このアパートにたどり着き、2階の部屋をぶち抜いて広さを確保して住むことになりました。

この経緯は詳しくはわからないのですが、たぶんそんな感じだったと思います。

私が働いていた花屋にも顔を出してくれたりと、仲良くしていましたが住み始めて1年もたたない頃、N君はその部屋で命を絶ってしまいました。

落合斎場での通夜告別式に参列し、まだ日も経たない頃の日曜日の午前中の出来事です。

私が部屋にいると、敷地奥に建つアパート2階の部屋からピアノを弾く音が聞こえてきました。それは何かの曲ではなく、ただ静かに鍵盤に指を乗せて一音ずつ確かめるようにランダムに音を出している感じでした。

N君のご家族は遠方に住んでいてすぐに荷物は引き取れないためそのままにしてあり、部屋の鍵は私の隣に住んでいる友達が預かっていました。

すぐに隣に住む友達に知らせに行き、いま私が体験したことを伝えましたが、寝起きの友達は信じてくれず一応部屋を見てみようと鍵を持って2階の部屋に行ってくれました。

私は情けないことに怖くて階段を登れませんでした。

階段の下から友達に声をかけると部屋の鍵は閉まっていて、鍵を開けて中を確認したけど何人も居なかったということです。

それ以降ピアノが聞こえることはありませんでしたがとても不思議な体験でした。




生き霊または幽体離脱のおばあさんとあいさつをかわした

この話は私が独立する2年ほど前、花屋で働いていた時の出来事ですから、1997年頃、27歳の時の出来事です。

前置きとしてこの話の主人公であるおばあさんは、私が働いていた店舗の近くにある時計屋さんのおばあさんです。白髪で短髪にしていて日本人離れしたキリッとした顔立ちの余計な話はしないクールな印象でお若い時にはモテただろうなという感じのお美しいお方でした。

時計屋さんは70代前半位のご夫婦が店番をしていて、毎週月曜日にその時計屋の2階にあったご自宅の仏壇に供える花をおばあさんが買いにいらしていました。

いつ頃からでしたか、お花を買いに来るのが旦那さんに変わっていて、『おばあさんはどうなさっているのかな?』と・・・

店番の同僚と話をしていると、地元の他のお客さんから「時計屋のおばあさんはもうずっと入院していてもう長くないようだ」という噂話を私たちに伝えてきました。

そんな話が近所に知れてきたころ、私が店舗裏の細い十字路を超えた所にある、花をストックしている倉庫へ荷物を取りに行くために歩いて向かっていると、進行方向右側から時計屋のおばあさんが元気な時そのままの姿でさっそうと私に向かって歩いてきて
十字路中央で最接近する形になりました。

その時におばあさんはこちらを見てきたので目を合わせるとほんの少しお辞儀をして通り過ぎていきました。

いま思い出すとおばあさんの表情は笑っても怒っても悲しんでもいない、ほぼ無表情だったと思います。

ですが、人物紹介で書いた通り、クールな印象のおばあさんだったのでその当時はいつもの普段通りのおばあさんの表情だと思い、特段違和感は有りませんでした。

お顔は分かりますが、かなり年上のお客様なので気軽にご病気のことを聞けるはずもなく私も軽くお辞儀をしておばあさんの後姿を見送りました。

その時の出で立ちは黒いスパッツのようなパンツと黒地に大きな赤い花をモチーフにした感じのセーターを着ていたのを覚えています。

私は『ああ、退院されてお元気になったんだ!よかった!』と思い、店舗に戻り今見たことを伝えました。そして同僚も「よかったよかった」と言っていました。

それから何日経ったか曖昧ですが、たぶん1週間から10日かそれ以降くらいだと思います。時計屋の旦那さんが店にいらしておばあさんが亡くなった事、ずっと入院して自宅に帰れなかったことなどを私たちに話されました。

この体験はおばあさんの生き霊だったのか幽体離脱して自由に歩き回っている姿を見てしまったということなのでしょうか?

もしかしたら颯爽と歩いていたのは、病気を患った肉体から魂が抜けて解き放たれ、開放された気分で街をルンルンと楽しくお散歩していたという事なのかもしれませんね。

いまでもその路地を歩くと必ず思い出す不思議な出来事です。

(アトラスラジオ・リスナー投稿 かもめ食堂さん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

Maxime MorletによるPixabayからの画像