ニュース

アメリカ初の全顔面移植手術!!「顔を失った男」ダラスの奇跡

事故や病気により顔面の一部を欠損してしまい、手術によって失われたパーツを復元し取り戻すといった例は多い。いずれも医療や移植技術の驚異的な進歩に驚かされるものだ。

そのような例の中で最も有名な例というと、通称「顔を失った男」と呼ばれたダラス・ワインズ(ウィーンズ)であろう。

アメリカのテキサス州に住む彼は、作業員として働いていたごく普通の男性であった。事件が起こったのは2008年11月。彼は移動クレーンでの作業中に、誤って高圧電線に顔が衝突してしまったのである。顔が焼けただれ頭蓋骨がむき出しの状態になるも、22回の手術を経て奇跡的に彼は一命を取り留めた。

しかし、一方で彼の顔は大きく変貌してしまったのだ。感染症を防ぐために腿(もも)と背中の皮膚が移植されたその顔は、眼も鼻も眉毛もない、まるで布で顔を覆ったかのような状態になっていた。聴覚は問題なかったが、顔面の筋肉や神経はわずかしか残っておらず、視力を失ったほか顔の感覚も匂いもわからず、口はあるものの流動食をストローで飲む生活となった。

彼は絶望を感じるも、「生還できただけでも幸せだ」と考えその気持ちを払いのけようと努めた。ただ一つ、最愛の一人娘スカーレットにキスができないこと、そして娘からキスされる感覚を顔に感じられないこと、このことが長年彼の心を苦しめることとなった。

また、彼は娘が嫌な思いをすることを恐れ娘と一緒に出掛けないようにしていたという。反面、娘はそんな父を気遣い日々その日の出来事を話しかけていた。




その彼のもとに数年後、思いも寄らぬ一報が寄せられた。彼を担当している医師から、全顔面移植手術ができるかもしれないと聞かされたのだ。

話を持ち掛けたのは、顔面移植においてアメリカで過去2例あった成功例の1件に携わっていた医師ボーダン・ポマハック。ダラスの手術内容を米兵士の治療への参考にできれば全額を国防省に補償してもらえるということであった。

ただし、成功とは言えども”全顔面”は過去に例がないものであった。それでもダラスは迷うことなくこの手術を受けることを承諾し、2011年にドナーが見つかったことで手術が行なわれた。

30人以上の医療チームによる、およそ15時間以上に及ぶ大手術は見事に成功した。唇を動かして話せるようになり、血管や神経もつながったことで髪の毛やヒゲも伸び、また顔の感覚も一部回復し嗅覚も復活したのだ。手術後に彼はボストン病院で記者会見を行ない、娘から「すごくハンサムよ」と言われたなど、その喜びの気持ちを伝えたという。

思いも寄らない事故に遭遇してしまい、人生が一変し絶望も味わったであろう彼であるが、愛娘に対する強い思いが彼の手術を成功に導いた一因になったことは間違いない。なお、彼はのちの2013年に、全身火傷から生還した女性と結婚したと報じられたが、2021年には離婚。

現在は別の女性と交際をしているとのことである。

【参考記事・文献】
顔が無くなった男の姿が悲惨すぎる。10週間の昏睡状態から目覚めた時、彼は何が起こったのか理解できなかった。
https://matomake.com/I0002804/
ダラス・ウィーンズさん、全顔面移植手術で新たな顔を手に入れる
https://ameblo.jp/pandemonium0299/entry-10888078725.html
電機事故で顔面を失った男性、移植手術に成功
https://www.sekairo.com/372.html
高圧電線で顔を失ったダラス・ウィーンズの顔面移植手術|ザ!世界仰天ニュース
https://tvmatome.net/archives/6509
ダラス・ウィーンズさん、全身火傷から生還した女性と結婚
https://ameblo.jp/pandemonium0299/entry-11503048252.html

(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 teerapon / Adobe Stock