カバゴンは、1970年代に遠泳漁業船の乗組員たちがニュージーランド沖で目撃したUMAである。
たった一度の目撃であったにもかかわらず、その目撃された見た目や「カバゴン」というまるで冗談とも思える名前のインパクトがきわめて強く、UMAの中でも1・2位を争うほどに個性的なUMAとしても知られている。
1974年4月28日の午後、第28金毘羅丸がニュージーランド南東沖合を航行していた時のこと。船員が海に浮かんでいるブイを引き揚げていたところ、その近くに妙な物体が浮かんでいることに気が付いた。船員たちが近づいて行くとその物体は急に動き出し、そしてそれが海面に頭部だけを突き出した謎の怪生物であることがわかった。
乗組員であった26人全員が目撃したその怪物は、しばらく対峙したあと海中へ姿を消したという。この怪物の目撃は、現地ニュージーランドの情報誌でも取り上げられ、7月17日付の毎日新聞でも「カバゴンが出た!」というタイトルで掲載されたという。
なお、カバゴンという名は、乗組員の「カバみたいなでかい怪物」といった旨の証言から呼ばれるようになった。
怪物は、確認できたのが頭部だけだったとはいえ、1.5メートルほどの大きさがあったとされている。また、木村実船長が描いたイラストは、ギョロっとして赤みがかった両目に、シワだらけで褐色がかった灰色の頭部、そして目の下には鼻と思しき鼻腔があったという。
その風貌は強烈な印象を与えると同時に、他のUMAとは異なった特殊性が際立っている。だがその後、カバゴンは捕獲されるどころか再び目撃されることもなかった。
カバゴンの正体については、いくつかの説があげられており、一つにはその見た目からトドやアザラシといった海生哺乳類の誤認であったのではないかと言われている。その大きさから、特にセイウチが候補としてもあげられたが、セイウチの生息域は北半球であるため南半球のニュージーランド沖で出現することは考えにくいようだ。
また、鼻先を天に向けたポーズのアシカに似ているとの意見もあり、現にニュージーランドアシカという動物は実在しているものの、サイズや鼻腔のことを考えると決定打に乏しいものとなっている。
新種の生物もしくは既に絶滅したと思われる生物の生き残りであった、という仮説も存在する。中新世中期から後期、日本からカリフォルニアにかけての北太平洋沿岸地域に棲息していたとされる哺乳類デスモスチルス。
円柱を束ねたような構造をした特徴的な臼歯を持っていたことから束柱目(そくちゅうもく)という名で部類されていたこの生物は、復元画においてたびたびカバのように描かれている。また近年では、海に適応し遊泳能力の高い生物であることが研究によって結論付けられており、この絶滅動物デスモスチルスがカバゴンの正体ではないかとも考えられている。
カバゴンはこの他にも、1958年に日本の南極観測船「宗谷」が南極付近の海上で遭遇したという通称「南極ゴジラ」や、近年にネット上で話題となった「ニンゲン」や「ヒトガタ」といったUMAとの関連を見出す意見もあり、同一の存在ではないかとの話も囁かれているという。
【参考記事・文献】
ニュージーランド沖に現れた謎のUMA「カバゴン」の正体ってコレじゃない?
https://believeitornot666.com/kabagon/
第3回 ナゾの絶滅大型哺乳類デスモスチルスとは何者か
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20140710/407032/
乗組員26人が目撃! 波間からのぞくギョロ目「カバゴン」【UMA図鑑#86】
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/32557
ニュージーランド沖の謎の生物カバゴン
https://chahoo.jp/kabagon/
(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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