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トレジャーハンター、ユタ州の遺跡で大規模な溝を掘って考古学的価値を台無しに

あるトレジャーハンターが、遺跡の保護区域に巨大な溝を掘ったため、深刻な法律トラブルに巻き込まれるという事件がアメリカから寄せられた。

地元メディアの報道によると、この不幸な事件は昨年11月、ユタ州のフォート・ピアースと呼ばれる場所で不審な発掘を行なっている男がいるという通報を当局が受けたことから始まった。

通報を受けて駆けつけた警察官は、エドゥアルド・ウンベルト・セオアネという男性が幅約60センチ、深さ約4.5メートルの溝を掘っている現場に居合わせて驚愕したという。 当時現場に赴いたダレル・カシン巡査部長は、「私たちは自分が見ているものが信じられませんでした。 容疑者は電動工具も手工具も持っていて、明らかに長い間掘削を続けていました」と語っている。

後に当局が巨大な溝についてセオアネ氏に質問したところ、彼は銀やその他の貴金属の試掘をしていたと主張した。 しかし、彼が掘り進めていた場所は遺跡。古代の人々にとって “ゴミ捨て場 “のような場所であり、古代の人々の生活様式を知る重要な手がかりがとなる場所でもあった。

トレジャーハンターを自称するセオアネ氏は、だからこそ昔の人貴重品を埋めて隠したかもしれないと考えたようだが、彼の掘削によって専門家が出土品の年代を特定するための条痕を乱してしまう結果となった。




ちなみにこの遺跡を管理するユタ信託地管理局の調査によって、彼の説はかなり疑わしいものだと判断されている。

この事件の調査を担当したTLA職員のブレント・カスカ氏は、試掘を許可する許可証やセオアネ氏の主張を裏付けるようなものは何も見つからなかったと指摘しており、更に「容疑者が複数の宝探しグループに所属していることを突き止めることができた」と述べている。

また無許可発掘の影響について、考古学者のジョエル・ブームガーデン氏は、「この男によって引き起こされた損害を計算することはほとんど不可能です。今となっては、すべての情報が脈絡のないものになってしまいました」と嘆いている。
当局によれば、この発掘によってもたらされた科学的破壊にとどまらず、溝を埋めるだけでも推定1万9000ドルの費用がかかるとのこと。

今後、犯人がどのような処罰を受けるかは解っていないが、財宝探しの結果はかなり高い勉強代となってしまったようだ。

(加藤史紀 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 https://twitter.com/Utah_Newspapers