1980年代後半から90年代にかけて、坂本弁護士一家殺害やサリン事件など日本犯罪史上類を見ないほど社会に衝撃を与えた「オウム真理教」。Alephなどの後継団体が、現在もなお公安調査庁から警戒されているなど、今なおその影響は続いている。
オウムの全盛期においては、教祖・麻原彰晃は多くのメディアで持ち上げられ、その思想を絶賛し尊敬を表す者も多かったのは事実である。そして、彼及びその教団を持ち上げた代表的な存在、それが学研のオカルト雑誌である『ムー』であった。
今なおタレントや芸能人の中でも愛読者が多く、オカルト雑誌の代名詞とも言われるムーであるが、オカルトを好む人々以外からの評価は非常に冷ややかなものとなっているのが現状である。「飲み会のネタ程度なら好ましい」という声もあるが、やはり引き合いに出されるのはオウムの件である。
ムーは、麻原の空中浮遊(ジャンプ)の連続写真を無批判で掲載し、これを奇跡と信じた読者がオウム真理教に入信する一助となってしまった。その中には、オウム元信者で、現「ひかりの輪」代表の上祐史浩もいた。
オウムの一連の事件当時、これを不祥事としたムー編集部はいち早く霊感商法の広告を排除したと述べるに至った。しかし問題なのは、それが“謝罪”を意味しないということだ。「他のメディアでも持ち上げたのだからムーだけの責任ではない」という擁護も聞かれる。
確かにテレビ番組や他の雑誌等、その扱いが色物としてであっても麻原を面白がりそして持ち上げたメディアは多数ある。しかし論点はそこではなく、これはムー自身の始末の付け方の問題である。
オウム事件は、こんにちのオカルトのあり様の分岐点になった出来事であるとも言えるだろう。ムーに好意的意見を寄せる者の中には、「露骨な陰謀論を掲載するような煽り方をしていない」「ファンタジーに徹している」として、それがオウム事件の痛い経験に基づいた反省だとの声もあるようだ。
しかし、オウムに関しては今でも多くの被害者が存在しており、また社会的な後遺症も続いている。そして、先述したように明確な謝罪や説明は今もってムーからなされていない。仮に現行のスタイルが反省であったとしても、それとは別の問題であることをハッキリと認識しておく必要があるだろう。
今なお多くの読者を抱える著名な雑誌であるからこそ、しっかりとけじめをつけるべきではないだろうか。
【参考記事・文献】
オウム事件15年目、日本テレビがゴールデンタイムで麻原彰晃掲載雑誌・学研「ムー」を紹介!!
https://npn.co.jp/article/detail/85384434/
休刊した『新潮45』の編集長は、雑誌『ムー』の編集部時代にオウム真理教を擁護していた!
https://www.iwgpusnever.com/entry/sinchou45/hennshuuchoou
「オウム真理教」キーパーソンと直接対決した、ある芸人の証言
https://gendai.media/articles/-/56605
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(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 警察庁 (National Police Agency), CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=128271015による