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「与那国海底遺跡」は海底に眠る古代に栄えた文明の痕跡か

1986年、南西諸島八重山列島にある日本最西端の島「与那国島」の南側海底において、地元のダイバー新嵩喜八郎(あらたけきはちろう)が巨大な一枚岩や階段構造を発見した。その様は海底に眠る巨大宮殿の遺跡のような光景であり、のちに「与那国島海底遺跡」と呼ばれ現代に至っている。

発見された岩は、直角になった部分や通路のように平坦な部分、そして柱が立っているかのような穴も多く存在していた。その規模は東西約250メートル、南北約150メートルというエジプトのピラミッドよりも大きく、高低差は25メートルほどあるというのだ。1992年に琉球大学の教授らによって調査が行なわれ、98年には「遺跡発見届」が沖縄文化局に提出された。


しかし、この海底遺跡は「遺跡」として認められることはなかった。人の手が加えられた証拠が無いとし、あくまで自然にできた地形にすぎないと判定された。岩石が比較的規則正しく割れることを「節理」と言うが、この現象が遺跡のように見える地形を形成した一因になったのではないかと考えられたのである。こうしたことから現時点において、一般的には遺跡ではなく「与那国島海底地形」と称されている。

だが、これによって人工・遺跡説が完全に否定されたというわけでもない。実際に、星形の岩、左右対称のテラスのような物体、そして水路(排水溝)のような痕跡など、明らかに人工的に作られたとしか思えないようなものが散見されている。仮に、これが本当に遺跡であったとすると、一説には約1万年前の海面上昇によって水没したものであると考えられ、これが事実であれば世界最古の古代遺跡になるとも言われている。

また別に、2005年から2006年にかけて行なわれた琉球大学主催の調査では、古代ではなく10世紀後半から11世紀前半に水没したという中世遺跡説というものも新たに唱えられている。




遺跡であるという説に補強する形として注目されているものが他にある。それは与那国島の南岸に位置する人面岩の存在だ。2002年に発見されたというこの人面岩は、目の部分に繰り抜いたあと、鼻らしき突起、そして舌を出したような形をした不思議な岩であり、人工的に彫られたものではないかと強く唱えられているという。一説には、これが人工的な人面岩であったとすると、その目線の先に海底遺跡があるとも言われているのだ。

現在観光としてダイビングスポットともされているこの与那国島海底地形あるいは海底遺跡については、まだまだ多くの謎が残されている。前述した説もそうであるが、中にはムー大陸の存在に関連した遺跡であるとの大胆な仮説も持ち上がっている。今後さらなる調査が進み、解明されることを願うばかりだ。

【参考記事・文献】
与那国島の海底に遺跡が?人工物かそれとも自然現象なのか
https://ecotopia.earth/article-1525/
与那国島の海底に眠る遺跡!?謎多き『与那国島海底遺跡』
https://tabijikan.jp/yonaguni-jima-submarine-ruins-12623/#index-2
人面岩(与那国島)
https://tabi-mag.jp/on0428/
ドラマ「Dr.コトー診療所」のロケ地にもなった「人面岩」
https://www.ritou.com/travels/travel14564/

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(ナオキ・コムロ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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