マリー・アントワネットに出会った?!ヴェルサイユ宮殿「タイムスリップ」事件

タイムトラベルあるいはタイムスリップは、現在の時間の流れから離脱し過去や未来へ移動することを言う。SF作品の題材としてもよく使用されるが、ことオカルトでは「古い写真に写る現代風の人物」「未来人の予言」などの話題で聞かれることが多いワードであろう。

1901年8月、イギリスのセント・ヒューズ女子短期大学の初代学長シャーロット・アン・モーバリーと副学長エレノア・ジュールダンという二人の女性が、ヴェルサイユ宮殿を旅行で訪れていた。宮殿内のエリアを巡っていく中で、小トリアノン宮殿を目指そうと庭園を抜けた彼女たちは、そこで吐き気を催すほどの重苦しい気分を感じ始めた。

憂鬱な気分になりながらも小トリアノン宮殿を目指して歩いていると、古めかしい服装の庭師らしき男性の姿や、古い農作業用具があるのを目にするなど、不思議なことが立て続けに起こった。気が付くと、先ほどまでいたはずの大勢の観光客の姿もなかったという。




とある灰色がかった緑色のコートの男性が、彼女たちに道を教えてくれた。ますますおかしな気分になりながら彼女たちが歩を進めていくと、今度は幅の広い帽子と古風のバックルのついた靴を履いた別の男性がおり、「そっちに行ってはいけない。こっちだ」と声をかけてきた。

その男性の指示通りに進んでいき、橋を渡って小トリアノン宮殿が見えたそのそばに、華やかなドレスを着飾った女性が絵を描いていた。彼女たちの存在に気付いたドレスの女性が二人を無言で見つめていると、ますます奇妙な感覚に襲われた二人は足早に出口へ向かった。そしてやっと敷地の外へ出るとそこには、元の通り観光客があふれており、奇妙な感覚も消え去っていたという。

彼女たちはその後、自分たちの身に起こったことを確認しようと様々な史料にあたった。その結果、自分たちが出会った人々の服装や庭園の配置などは、17世紀のヴェルサイユ宮殿当時のものであり、しかも二人の出会った絵を描いていたドレスの女性がマリー・アントワネットだったということがわかったのだ。1911年に二人は、この体験をまとめた著作『An Adventure』を発表しベストセラーとなった。

この話は、タイムトラベル事件で最もよく知られる事例として語られており、フランスで語られる怪談、ヴェルサイユ宮殿にマリー・アントワネットの幽霊が出現するという『トリアノンの幽霊』という話として有名になった事件であるとも言われている。また彼女たちが訪れた日は、マリー・アントワネットが夫ルイ16世と共に幽閉された8月10日と同じ月日であったという。


彼女たちの著書は当初別名義で書かれていたが、彼女たちの死後に作者が公表され、ここで彼女たちが名門校の学長・副学長であったことが判明したことで再び注目されることとなった。しかし、1950年になってその内容の検証が行なわれた際、体験から出版までの間でかなりの加筆がなされているという結果がなされ、一方が覚えていることをもう一方が覚えていないといった指摘もあり、 信憑性が大いに疑われることとなった。

ただその一方で、同様の体験をしたという報告もあり、すべてがすべて嘘であるとは言い切れない部分もあると言う。彼女たちがタイムスリップしたとされるタイミングで気分が悪くなったという主張については、17世紀当時のヴェルサイユ宮殿において、庭園の花々の強烈な匂いに耐え切れず帰って行った訪問者が多かったという記録が残っているのは大変に興味深い点であろう。一説では、タイムトラベルではなく『トリアノンの幽霊』で言われるような当時の人々の幽霊をお互いに目撃したのではないかとも言われている。

ヴェルサイユ宮殿は、時空や次元の歪みもしくは霊的な場を生み出す特殊な地点になっているのかもしれない。

【参考記事・文献】
朝里樹『世界現代怪異事典』
【世界の謎】名門大学の学寮長がタイムスリップ!?謎のベルサイユ宮殿事件
https://tabizine.jp/2017/12/05/160787/
■■ タイムトラベラーたちの証言 ■■
http://wwwc.pikara.ne.jp/eienmugen/timetraveller.html
ヴェルサイユ宮殿の 14 の秘密
https://artsandculture.google.com/story/UALiKfwJBLS9IA?hl=ja

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(ナオキ・コムロ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

Photo credit: bortescristian on VisualHunt.com

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