予言

予言能力も持っていた?!聖徳太子の残したという「未来記」とは

超人的な逸話や伝説の残る日本の歴史を代表する人物「聖徳太子」。実は存在しなかったという説から、キリスト教徒の関係を示唆する説など、オカルトに絡む数々の話題にも事欠かない存在となっている。そんな聖徳太子の超人的逸話の一つとして、彼は「予言」の能力を持っていたのではないかというものもある。

聖徳太子が予言をも行なっていたという記述は、日本書紀の中で既に触れられているという。彼について触れる章の中に、「兼知未然(兼ねて未だ然らざるを知る)」すなわち「あらかじめ先々に起こることを知っていた」と記されており、これが彼の予言能力の根拠ともなっているが、残念ながら日本書紀上では具体的にどういった予言がなされていたかは記されていない。


しかし、聖徳太子の予言を記した文が、実際に存在したというのだ。それは、『未来記』と呼ばれるものである。この『未来記』は一冊の書物として存在しているものではなく、多くが石に刻まれた碑文のような形で、あるいは土の中から出てくるなど様々な形で“発見”されており、それらの総称とされている。

しかしながらその存在は、軍記物語として知られる『太平記』をはじめとして、藤原定家の日記である『明月記』にもその名が登場していることから、原本が実在していた可能性はある。

その予言の内容は、鎌倉幕府の成立や蒙古襲来、南北朝の争乱といった現代でいう歴史上の出来事から、はては第二次大戦の勃発や新型コロナの流行までも言い当てているとまで言われている。よく知られるのは、鎌倉末期の武将楠木正成にまつわるものである。

『太平記』によると、正成は天王寺(現在の四天王寺)に参拝した際、未来記を読ませてほしいと頼み込んだという。難解な表現で綴られている未来記を読んだ正成は、そこで鎌倉幕府の滅亡と後醍醐天皇の新政を読み解き、衝撃を受けたと言われている。




聖徳太子の超人伝説は、時の権力者の都合によって捏造されたという説がある。聖徳太子の『未来記』に代表される予言能力についても、その超人化の一端ではないかとも考えられている。『未来記』が写本でしか現存していないということも、その疑いに拍車をかけているのは事実である。未来記の原本が公開されていない限り、この解明がなされることは難しいだろう。

それにしても、聖徳太子と予言という組み合わせがなんとも興味深い。予言とは先を見通すことであるが、それはいわば「この先に必ずこういった出来事が起こる」という予定説的な見方だ。その発想は、聖徳太子が普及に尽力したとされる仏教のものではないし、また神道とも考えにくく、言うなればきわめてキリスト教的に思える。

彼はイエスの伝説と重なる部分があるという説もあるため、未来記という存在は、実はその関連を裏付ける重要なパーツであるのかもしれない。

【参考記事・文献】
・山口敏太郎『日本史の都市伝説』
・古代日本最高の知性が見通す未来「聖徳太子の予言」

古代日本最高の知性が見通す未来「聖徳太子の予言」


・聖徳太子(厩戸[うまやど]皇子)の予言書で未来を知った楠木正成
https://www.touken-world.jp/tips/18231/

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(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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