今年初め、アメリカ国防総省のUFO調査オフィスこと全領域異常解決オフィス(AARO)はとある奇妙な映像を公開した。
問題の映像は、中東のどこかのビルの上空をかなりのスピードで移動する正体不明の金属球を捉えたもので、AAROの長官であるショーン・カークパトリック氏によって4月に行われた上院委員会の公聴会で公開された。当時、この映像はUFOが存在するだけでなく、アメリカ政府によってUFOが公式に認められた証拠であるかのように扱われ、世界中で大きな関心を呼んだ。
カークパトリック氏は当時、この映像について次のように語っていた。
「私たちは世界中で非常に興味深いものを調査しており、その中には何者かが明白に操縦している物体もある。しかし、特にこの機体は、謎めいた技術的能力を示すものでもなく、空中の安全を脅かすものでもなかった」
この発言からは、この動画がさまざまなUFOもといUAPの事例カークパトリック氏にとっても見過ごせない事例であった様子が伺える。
そんな中、ベリングキャットという調査報道グループが、この映像の物体について「単なるマイラー気球に過ぎない」という結論を発表して注目が集まった。
調査員たちはこの映像を撮影したドローンの相対的な速度と高度に基づいて、物体の大きさ、速度、移動距離を計算。また、参考のために撮影された正確な場所も割り出した。その結果、問題の物体が高度約2000フィート(約610メートル)に位置していたのであれば、時速27マイル以下で移動していた可能性はかなり高いという結論に至ったのだ。
しかもこの物体が目撃された日はイスラム教の大型連休中で、気球が使われるのも珍しくないとのこと。
「直径30センチ程度のエイリアンの宇宙船が中東を飛んでいると想像するのはエキサイティングなことですが、データを元に余計な情報や可能性をそぎ落として考えると、私たちはパーティー用の風船を見ていたに過ぎなかったのかもしれません」と研究グループは結論づけている。
(飯山俊樹 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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