
子供の日常生活の中では様々な局面で妖怪伝説が生まれている。
ある町で子供の遊び場になっている石切場があった。多くの子供たちが出入りしていたのだが、そこには「ヒデキ」という悪戯妖怪が棲んでいた。
この妖怪は子供に様々なちょっかいを出すのだが、特に缶けりの遊びをやっているときにいたずらを仕掛けてきた。鬼の隙をついて缶を蹴ろうとすると、缶がピクリとも動かなかったり、下手すると蹴つまずいて転んでしまうこともあったとされる。
これは妖怪「ヒデキ」が缶を押さえていたからだと言う。場合によっては、簡単に缶を蹴れることもあった。そのため石切場では缶蹴りを決してやらなかったらしい。
以下は山口敏太郎の見解である。
石というのは人間の霊魂を宿し易い。そのため、墓石は石を使って建立されることが多い。多くの人が亡くなった場所で作られる慰霊碑も石であることが多い。
石の妖怪と言えば、女性の姿となって現れ人間にマッサージをして眠らせてしまう妖怪「石妖」が思い出される。この妖怪「ヒデキ」もその類であろうか。
石切の作業をやっていた人間は日本においては「まつろわぬ民」としてアウトサイダーに分類された。石切=妖怪と言うイメージも石切の民、石打の民の幻影が見え隠れする。ヨーロッパにおいても石細工職人は、怪しげな秘密結社フリーメーソンであると呼ばれた。マージナルな民に国境はない。
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怪異録―怪談と都市伝説―より「怖い話・不思議な話 その8」
他にも現在アトラスで収集している現代妖怪は次のようなものがある。「八尺さま」「めかぁ猫」「むしゃくるさま」「口裂け女」「ミカサ」「テンポポ様」「挑戦ババア」「ゴム人間」「コイヌマ様」「笑い女」「包丁さま」「顔野菜」「蓑坊主」「白ん坊」「ヒサル」「朽縄さま」「ムシリ」「とわとわさん」「隙間さん」「人面犬」「のどかみさま」「アカマネ」「ぐにゃぐにゃおばさん」「トイレの花子」「大根さん」「口裂けヨン様」「えんべさん」「ヒギョウさま」「ミヤウチさま」「おっぺけ様」「ヒザマ」「福鼠」「やまけらし様」「ヤマノケ」「嫌われ虫」「こだまさん」「つくし鬼」「サンコーさん」「さにゃつき」「クロスマさん」「ワニ喰いワシ」「つちおばけ」などである。
出典:怪異録―怪談と都市伝説―より「怖い話・不思議な話 その8」
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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