2016年5月22日、歌手の福山雅治さんのマンション宅へ侵入したとしてマンション管理会社の女性従業員が逮捕された。特に被害はなく福山さんの妻で女優の吹石一恵さんも無事だった。
女性が侵入した動機については「ギターが好きで福山さんのギターを見たかった」というなんとも情けない理由で現在、ネットで話題になっている。むろん管理会社の従業員といえど勝手に他人の住居に侵入するのは紛れもない犯罪であり被害にあった福山夫妻は新婚早々とんだトラブルに巻き込まれた。
さて、芸能人宅にファンが勝手に侵入という事件は昔からあるが、もっとも古いデータは何かと探してみた。
すると昭和33年(1958年)12月27日朝日新聞朝刊の社会面に「女優の淡島千景さん宅に強盗」という記事が掲載されていた。
「12月26日夜10時頃東京都大田区○○町○○番(※当時の新聞は芸能人の住所が普通に掲載される)の女優淡島千景さん宅に男が侵入。窓ガラスを割り女中のF田M代子さん(31)におもちゃのピストルを突きつけた。男は4,505円を奪った。ほかの女中が110番通報し池上署の警官が犯人を取り押さえた。淡島さんは留守で無事だった」とある。
犯人は岡山県出身の無職少年(17歳)で淡島千景宅に入った動機がなんと「淡島千景の家なら金があるかと思った」からだという。
特にファンでもなく、芸能人だから金があるという理由だけでおもちゃのピストル1丁で強盗に入るとはなかなかの人物である。なお補足しておくが当時の4,505円は現在の7万円(*)近い価値があり強盗としては一応の目的は果たしている。
(*注:昭和33年の大卒初任給は平均大卒初任給が約1万3,500円、平成26年は20万2,000円)
文:穂積昭雪(文化ライター)(ミステリーニュースステーション・ATLAS編集部)