ジェイソン村とは、怪村いわゆる村系都市伝説の一つであり、日本各地で実在したと言われる土地が点在している。
ジェイソンとは、アメリカ映画『13日の金曜日』シリーズに登場する殺人鬼であり、ホッケーマスクをかぶりマチェットあるいは斧を武器に持つ大柄な怪物として有名である。
ジェイソン村と呼ばれるスポットは10ヶ所近くあると言われており、中でも茨城県牛久のジェイソン村、神奈川県相模湖のジェイソン村が特に知られている。とある住人あるいは殺人鬼の手によって大量殺人が起こり、その結果廃村と化してしまったという点が、おおまかに共通しているテイストであり、現在ではそれぞれが心霊スポットとしても知られている。
一人の村人による大量殺人は、杉沢村伝説にも見られるようにポピュラーな設定であり、津山事件もしくはスポットの近隣などで実際にあったとされる一家心中事件などからインスパイアを受けていることが多い。その大量殺人という部分に、映画の殺人鬼ジェイソンを投影したであろうことは容易に考えられる。
また、神奈川県のジェイソン村は部屋ごとに建物が分かれているモーテルであり、茨城県のジェイソン村に至ってはプレス工場の廃墟であることが確認されており、村ですらなかった場所を村と称して広まっている点も面白い。いかに村系都市伝説の影響が、近年強烈なモチーフとなっていたかという事情がうかがえるだろう。
村系都市伝説は、日本の民話・伝承に登場する山の奥深くにある「隠れ里」と呼ばれる仙境伝承の流れを汲んでいるのではないかとされている。隠れ里の伝承は、限られた人間が入り込むことのできる平和な地として描かれることが特徴であるが、打って変わって怪村は非常に陰惨な事件や悲劇を背景としたものが多く対照的であるのが興味深い。
街並みという空間から離れ、反面に故郷感情を呼び起こす村という存在は、人々が抱く身近な神秘性を備える、遠くもあり近くもある格好の舞台なのだろう。そうした心理性と、現代囁かれる「裏の事情がある」というような都市伝説要素が、ダイレクトに融合したハイブリットが怪村という概念なのかもしれない。
【参考記事・文献】
・山口敏太郎『身の毛もよだつ!!驚愕の都市伝説』
・廃墟検索地図
https://haikyo.info/
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(にぅま 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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