能傍タルツと申します。
先日、わたしの会社の同僚で「怪談王」にもご尽力頂いた、N氏にこの度の結果など話していたら、彼自身もかなり上質のガチ怪談をお持ちだということが発覚。
そこで今回は彼から聞かせて頂いたお話を二話ほど語らせて頂きます。
N氏の話 その①「よくあるはなし」
今から数十年前の犬鳴トンネルでの出来事です。
これは、例の陰惨な殺人事件が起こる前の話ですが、その当時は県道21号、福岡能方線を久山町方向から進み左折。暗い山道を進むと現在入り口を閉鎖しているネットなどでお馴染みのブロックはまだ無く、そのままトンネル内に侵入できました。
その頃十代後半。やんちゃ盛りのN氏はある晩、男子三人女子二人でトンネルを通りそのまま反対側の宮若市方向に抜けます。
道なりに進み、犬鳴川を越えたあたり、左手には朽ち果てた廃屋があるのですが、その奥には水子地蔵尊があります。しかし、今ではすっかり打ち捨てられ、そこいら一帯は、あろうことか粗大ごみの不法投棄場所に成り果てていました。
そして捨てられた冷蔵庫の上にお地蔵さんの首がぽんと置かれていたそうです。
そこで、N氏たち男子三人は、嫌がる女子二名を尻目に散々首でふざけ回り、写真撮影して引き上げたそうですが、案の定・・・現像した写真の男子三人の首から上には白いもやがかかっており、さらに、無傷の女子とはうらはらにN氏たちは次々と交通事故に遭い、結局全員でお祓いを受けにいく運びとなったそうです。
次の話はN氏のまた別の知り合いから。
久山町と宮若市との境にある犬鳴トンネルですが、当時、トンネルに向かう山道には侵入禁止として鎖で閉鎖された脇道が幾つかありました。
それでは、その道を行くと、一体どちら側に抜けるのか、知り合いの彼はそれを確かめるべくほとんど獣道と化したその脇道に分けいってみた事があるそうです。
すると不思議なことに、どちら方面にも抜けずに、何故か犬鳴の山頂に出てしまったとのこと。
近隣の山頂の犬鳴御別館跡は今では風光明媚なダムと山々を一望できる整備された史跡公園ですが、それに反してここはただただ荒涼とした山の上。
そこをあちこち見回すうち、忽然と現れたのは山の頂上で一体何に使っていたのか、定かではない大昔の荒れ果てた井戸が一つ。
知り合いは何がなんだか訳がわからぬまま、とりあえずセルフタイマーでその古井戸と自分の写真を撮りましたが、後日、現像した写真を見ると井戸を背景に写った彼の隣にはやはり白い煙のような何かが佇んでいたそうです。
その彼が現在、どうしてるかは聞き忘れました。
N氏の話 その②「あかいかお」
N氏の幼少のみぎり。幼稚園に通っていた時の思い出です。
当時、幼稚園からのお帰りはお兄ちゃんと待ち合わせて帰るのが習慣づいていた時のこと。
その日も彼は墓地と納骨堂の横を流れる川のそばにある待ち合わせ場所でお兄ちゃんを待っていたところ、ふと急に誰かの視線を感じ、無性に納骨堂の方向を覗いてみたくなりました。
すると納骨堂の横の川の中から赤い赤い顔だけの男が彼を睨んでいたそうです。
赤いといっても酒を飲んだ赤い顔ではありません。頭から朱を浴びたように血に染まった赤い顔です。
それと目があった幼稚園児のN氏ですが、なぜか少しも怖いとは思わず、その生首に向かって石をバンバン投げつけたそうです。
そうこうするうちに現れたお兄ちゃん。
「何しょっとや?」
と尋ねられたN氏としては
「おー兄貴兄貴!何か川ん中に変なもんあるばい!」
と、答えようとしたつもりなのでしょうが、そこはやはり年端もいかぬ幼児なので、呂律がまわらず、
「兄ちゃん兄ちゃん、かおの中にかわが落ちとーよ!」
「何て~?」
「だ~け~ん!かわの中にかおが落ちとーと!」
とか何とかよくわからない会話をしてるうちにいつの間にか川の中の生首は消えていたとのことでした。
福岡県大野城市という町での出来事でした。
(アトラスラジオ・リスナー投稿 能傍タルツさん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)