近年目覚ましい発展を遂げている分野にAIとその関連技術がある。現在多くの人が利用しているチャット型OpenAIのChatGPTや、Googleがまもなく発表するというAIチャットボットBard、また画像生成AIなどAIはますます日常生活に溶け込んできている。
ところが、AIが急成長を遂げるなかで出てくる弊害も存在している。例えば存在しない事柄や事件をあたかも現実に起きた事のように文章に組み込んできたり、画像を生成するAIが学習過程で取り込んだ画像の著作権問題などだ。そしてAIの分野はオカルト業界にも影響を及ぼしつつある。
まずはこちらの画像を見てほしい。古びた写真で、人間の隣に身長が倍はありそうな毛むくじゃらの生物が立ち、カメラの方に視線を送っているというものだ。
BIGFOOT OR SASQUATCH🤔
This photograph, taken in 1883 this year on Okey Mountain, Cleburne County, Alabama USA, was found buried in a glass jar on the family estate. pic.twitter.com/8mkxBKyyPF
— 🛑 mocking the PEOPLE (@alextopol) June 27, 2023
この画像は1883年にアメリカはアラバマ州クレバーン郡のオケイ山で撮影されたもので、今年になってある一家の敷地内からガラス瓶に埋められた状態で発見されたものだという。もしこれが本物であるならば、非常に鮮明なビッグフットの姿を至近距離からカメラに収める事に成功した一枚となる。さらに、当時の写真技術を考えるとビッグフットがカメラの方を向いた状態でしばらく立って待っていたことになり、人間と何らかのコミュニケーションが取れていたのではないかという推測も出てきている。
色々と気になる点の多い写真だが、真相は単なるAI生成画像であることが判明した。この画像はインスタグラムの@the_ai_experimentまで遡ることができるそうで、アーティストのダン・ライルによれば画像生成AIのMidJourney V 5.1を使い、「地球上で最後に知られている巨大なネアンデルタール人の写真、普通の身長の男性に混じって歩いている、白黒でぼろぼろのヴィンテージ写真 –ar 9:16 –v 5.1 –style raw.」といったプロンプトを入力して出力したものであることが判明したのだ。
オカルトの歴史は膨大なフェイクや誤認との戦いの歴史でもある。そのため、海外のUMAの専門家からは「ネット上に氾濫するAI生成画像がUMAの調査の妨げになる」という警鐘が出てきてもいるのだ。
今後、UMA研究の舞台では従来のフェイク画像だけなく、AIを使って作られたニセ画像とも戦わなければならなくなるようだ。
(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)