古代エジプトを代表するファラオの一人、ツタンカーメン。
彼は若くして亡くなったが、その墓が盗掘の被害に遭っていなかったこともあり、様々な副葬品が手付かずのまま残されていた。そのため、当時の古代エジプトにおける文化や技術が伺えるものとなっている。
そんなツタンカーメンの数多くの副葬品の中に、謎めいたものが存在している。それは装飾を施された金の鞘と柄をした一振りの鉄製の短剣なのだが、約3300年という年月を過ぎていたものにもかかわらず、全く錆びていなかったのだ。当時の古代エジプトでは錆びない金属加工技術はまだ無かったと考えられており、この短剣もオーパーツになってしまうのではないかと考えられたのだ。
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だが、分析の結果この短剣はニッケルを多く含む隕鉄で造られている事が判明した。そう、地球に落下してきた隕石を加工して造られた短剣だったのである。研究者によれば、エジプト国内には複数の隕石が落下した痕跡が残っており、アレキサンドリア西方140キロ地点で短剣とよく似た配合率の隕石が見つかっているという。
昔から隕石は世界各地で神秘的なものと考えられており、チベットでも「鉄の男」と名付けられた隕鉄製の毘沙門天坐像が発見されている。古代エジプトでは暦や占星術などで、星の運行を重要視していた。隕石の隕鉄を用いて短剣を作ったのも、空から落ちてきた星である隕石を特別視する見方があったからなのかもしれない。
(加藤史規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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