世界最高峰のエベレストを含むヒマラヤ山脈を代表するUMA(未確認生物)といえばご存知「雪男」である。しかし、過去の日本で発行された新聞を探ってみるとヒマラヤ山脈に生息するUMAは雪男以外にも何体か掲載されている。
これは1948年5月10日の朝日新聞に掲載された記事である。
「ヒマラヤに怪獣現わる」の題で、ヒマラヤ山脈のアッサム州のバリバラ地方に現れ住民達が恐怖しているという記事と想像図が掲載されている。
記事によると、この怪獣はおよそ7千万年前に地球を歩き回っていた恐竜の生き残りではないかとされており、村民の目撃情報によるとこの恐竜の大きさは全長90フィート(およそ27m)高さが20フィート(およそ7m)の巨大生物で背から尾に関してはトカゲを拡大したような形をしており、足あとは象に似ていたという。
この恐竜は1948年初頭から村民の間で目撃されており、イギリスの新聞社は現地に恐竜探検隊を派遣したらしいが、現地に到着しても何の音沙汰もないという。
ヒマラヤといえば雪山が有名だが、1000mまでは亜熱帯の地域であり、ベンガルトラをはじめとする哺乳類が生息しているほか、怪獣が目撃されたアッサム州は気温が高く多くの珍しい爬虫類が生息していることでも有名だ。
また、この地には「ブル」という名前のトカゲ型UMAが生息していたという逸話がある。
「ブル」は見た目が丸みを帯びたワニのような形をしており体長は4メートルほど。確かに見ようによっては怪獣に見える。ブルの正体についてはワニの誤認説もあるが、中生代三畳紀に生息していた「キノグナトゥス」もしくは「ディキノドン」の生き残りという説もある。
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Ancient Earth “The Permian Period”
また、ブルは1951年前後には英国のタブロイド紙「デーリー・メール」が大トカゲ捜索隊を結成して現地に向かわせるという逸話も残っている。これは1948年に朝日新聞が紹介した「イギリスの新聞社が現地に恐竜探検隊を派遣した」との類似性もあるため、朝日新聞に掲載された怪獣の正体はイギリスの新聞社が追っていた「ブル」と同一の可能性は高いと考えられる。
しかし、戦後直後とはいえ、朝日新聞に「怪獣現れる」という記事がイラスト付きで掲載されるとは……「東スポ」がない時代はこのようなゴシップ記事の掲載も、大手新聞社の仕事だったのかもしれない。
(文:穂積昭雪 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像©朝日新聞