7月初め、エジプト北部アレクサンドリアはシディ・ガーバー地区にて世界の注目を集めるある発見があった。
それは、未盗掘で開封された痕跡のない石棺が発掘されたというもの。エジプトでは大半の墓や棺が盗掘被害に遭った後に発見される事が多く未開封の墓は極めてまれなため、今回の発見には期待の目が寄せられていた。石棺は重さ25~30トン、黒色花崗岩製で約2000年前のものと考えられている。
そしてこの度、問題の石棺を開封したところ、中から3体の損傷したミイラが見つかったとエジプト紙Youm7(電子版)がエジプト政府考古学委員会のムスタファ・ワジリ委員長の情報を基に報じた。
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Freshly unearthed Egyptian mummies ‘not royalty’
ミイラはヒビや隙間から石棺内部に入り込んだ水により痛みが激しかったという。それでもうち1人の頭部に矢を受けた傷が確認できることから3体のミイラは軍事関係者の可能性が高いとされている。
ミイラはアレクサンドリアの博物館にて死因と死亡年代が調査されている最中であり、石棺にはプトレマイオス朝やローマ皇族を示す碑文や紋章が付いていないため様々な記録と照らし合わせ、最終的にミイラが何者なのか探っていく予定だという。
石棺の年代が紀元前323年頃に始まったプトレマイオス朝に合致することなどから、まだ墓が発見されていないアレキサンダー大王等の歴史上の偉人のものである事を期待する声も上がっているようだが、当局は慎重に調査していくと述べている。
また一方で、ツタンカーメンの墓を発掘した後に関係者が多数亡くなった「ファラオの呪い」が再び起きる事を危惧する声もある。だが、「ファラオの呪い」は現在では偶然に過ぎないことが判明しているため、こちらを心配する研究者はあまりいないようだ。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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