7月18日に放送された『マツコ&有吉のかりそめ天国』にて珍しい現象が発生した。
この日の『かめりめ天国』ではお笑い芸人が多くの文豪が名作を生み出した場所「温泉宿」へ行き、お笑いのネタを執筆するという「禁断の欲望」を放送。レポーターには「歌舞伎あるある」などのネタでお馴染みのレイザーラモンRGが抜擢され、太宰治が愛した安田屋旅館、島崎藤村が通っていた伊藤屋、小林多喜二が贔屓にしていた福元館などについて報告し、ラストはRG得意の「あるあるネタ」で〆る、という筋書だった。
RGは冒頭に「自分も言葉を使うものとして、もっと『あるある』を極めたい」と気合十分であったが、場所がよくても切れ味はイマイチだったのか、RGの生み出した「文豪あるある」にスタジオにいるマツコ&有吉はただただ失笑するばかりであった。
しかし、ネタの切れ味はともかく、レイザーラモンRG自身、実は文豪と非常に強い接点のある芸人であるそうだ。
RGの本名は出淵誠といい、遠い祖先は愛媛県のとある大名にあたるという。そして出淵家系図を辿っていくと、江戸末期に出淵次郎吉という人物が生まれている。
実はこの出淵次郎吉とは「落語の神様」と呼ばれている落語家の三遊亭圓朝のことであり、実は圓朝とRGは直接の血のつながりはないものの、遠縁の親戚同士なのだという。
圓朝は「死神」「文七元結」「芝浜」といった現代にも残る名作落語を多く創作したほかにも、明治期には彼の落語口演が二葉亭四迷の手によって筆記されたことで人気を博し、現在使われている日本語の基本になるなど、落語だけではなく後に発表される文学作品や歌舞伎にも強い影響を与えている。
つまり、RGの親戚は「日本語そのものを作り出した人」であり、そのRGが文豪ゆかりの聖地で新ネタを作るということは、結果はどうであれ、今回の番組において非常に運命めいたものを感じさせてくれた。
是非、RGには同じ古典芸能でも「歌舞伎あるある」だけではなく「落語あるある」も極めて欲しいところだ。
(文:パンダ・レッサーパン・ダグラフ ミステリーニュースステーション・ATLAS編集部)
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