「鯰(なまず)が騒ぐと地震が起きる」とは、昔からよく言われている。
おそらく宏観異常現象としては日本で一番周知されているものではないだろうか。日本の地中には大鯰がとぐろを巻いて鎮座しており、これを鹿島神宮の大明神が境内の「要石」で抑えている(一説には鯰ではなく大きな龍とも)。それでも鯰が時折体を揺らすことがあり、この揺れが伝わって地震が起きるのだとされていた。
そもそも、なぜナマズが地震と関連づけてみられるようになったのか。
それは、江戸時代におきた安政の大地震があるとされている。安政の大地震は震度6の直下型地震で死者7千人、倒壊家屋1万数千件とも言われる甚大な被害を出したもの。この震災の前に鯰が大暴れした事をうけ、地震除けの鯰絵が販売されて「地震=鯰」とセットにして考えられるようになったとみられている。
では、鯰に本当に地震を感知する能力はあるのだろうか。
近代の研究に因れば、地震の起こる数時間前になると鯰が神経質になるケースが多く見られたという。また、鯰の電位差識別能力は人や同じ魚類の鯉の100万倍の0.5μV/㎝付近まで感知することが可能であるとされており、故に地磁気の微妙な変化に敏感に反応することができ「地震の前に暴れる個体が現れるのではないか」と考えられている。
(加藤史規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)