本アトラスでこれまでにも何度か取り上げている、1910年にアメリカで発行された「木こりの森の恐ろしい動物たち」。
19世紀から20世紀初頭にかけてアメリカで実在が信じられていた未確認動物や妖怪の伝承を挿絵付きで紹介したもので、他の地域の伝承にはないかなり独創的な特徴を備えているものも多い。
生息域が広く、また非常に破壊的な行動を見せるのがスプリンターキャットだ。目撃例や生物が残した痕跡は五大湖周辺から西海岸、そして大西洋沿岸とアメリカ各地で報告されているが、ロッキー山脈では少ないため平地や森林に生息してるとされる。
外見はヒョウに似ており、蜂蜜や樹液を主食としているそうなのだが、その食事のしかたがふるっている。中に蜂の巣や樹液を蓄えていそうな中空の部分が多い木を探しだすと、なんと木ごと粉砕するのだ。
この生物は単純だが効果的な方法で木を破壊するという。まず1本の木のてっぺんまで登り、最上部の枝から目当ての樹木に向かって猛スピードで駆け降りる。そして堅い頭部をを真っ直ぐに打ち付けて木を破壊するのだという。重機によるハンマー粉砕がイメージとしては近いかもしれない。それを豹に似た生物が行うのだ。
スプリンターキャットの生息域には稲妻や暴風に壊されたような木々が点在することになるという。湾岸地域ではしばしばこの動物による壊滅的な被害が起き、森林の形が変わってしまうこともあるそうだ。
非常に変わった生物だが、生息していた痕跡がみられないので妖怪とみる方が良いだろう。恐らくつむじ風や暴風雨などの災害を動きの素早いヒョウに見立てて妖怪としたのかもしれない。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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