Yさんという40代の主婦の方から聞いた話である。
今から30数年前、Yさんはひどく恐ろしい体験をした。当時、まだ20代だったYさんはアパレルの販売員をしていた。バブル真っ盛りの頃で、DCブランドがもてはやされた時代である。
その販売員は「ハウスマヌカン」と呼ばれ、時代の最先端をいくあこがれの職業だった。Yさんもそうした「ハウスマヌカン」のひとりで、狂乱の時代のまっただ中にいた。
陳列する間もないほどに服は売れ、アッシーやメッシーと呼ばれた、足代わりの男・ご飯をおごらせるだけの男をはべらせ、仲間たちと連日遊び歩いた。仕事も遊びも充実した日々を送っていたという。
そんな彼女の仕事仲間にOさんという女性がいた。Yさん以上に時代を謳歌した人物で、そうとうに派手な生活を送っていたという。Oさんはアーモンド型の目が印象的な女性で、アビシニアンのような細身のネコ科動物を思わせるモデルのようなスタイルをしていた。
Oさんは男性から非常にモテた。性格的にはどこかおっちょこちょいなところがあり、そのアンバランスさがまた魅力的で、Oさんに言いよる男は絶えなかったOさんはいつ寝ているのか不思議なほどに遊び歩いており、Yさんも心配になるほどだった。
連日、高級レストランでご飯をごちそうになり、そのあとで仲間たちと遊び歩く。みんなが帰ろうとする時間になっても、Oさんはそこから男を呼びつけ、また飲みに行くような日々を送っていた。
Yさんの目から見ても、当時のOさんの生き方はどこか危うい感じがしたという。
(※続く)
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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