古代人の頭骨には、謎めいた傷があったり変形していたりするものが度々みられるため、しばしば議論の的となる。今回ドイツの研究者らの間で注目を集めているのが、南ドイツで発見された細長い頭蓋骨だ。
この頭蓋骨はドイツはバイエルン州の5世紀後半から6世紀初頭の遺跡で発見されたもので、40人分遺体の中に含まれていた。明らかに長く変形した頭蓋骨は合計で9人分、伸びる過程にあるのか中間の徴候を示す頭蓋骨も5人分発見された。そして変形していた頭蓋骨はすべて女性のものだった。
ドイツのマインツ大学遺伝学者ヨアヒム・バーガー(Josephim Burger)氏によれば、他の普通の頭蓋骨と比較したところ、変形頭蓋骨の人物は遺伝的にまったく異なっていた事が判明したと述べている。つまり長頭の女性たちは、古代のバイエルン人と一緒に生きていたにもかかわらず、バイエルン人ではなく全く違う人々であったと言えるのだそうだ。
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遺伝子学者のクリシュナ・ベラマ氏は「西欧と中部ヨーロッパの部族が、他の地域で生まれた細長い頭部を持つエキゾチックな女性を買収していたことを示している」と述べた。
変形頭蓋骨の女性のほとんどは、裕福な南東ヨーロッパから来たものであり、政治的または戦略的同盟に利益をもたらすためにバイエルンへやって来て男性と婚約したものとみられている。
彼女らの頭部が変形しているのはその出自を明らかにするものであり、これらの女性たちは幼児期から頭部を拘束することによって形を変えていたものとみられている。同様の、何らかの目的のために頭蓋骨を変形させることは世界の他の地域でも行われている風習の一つだったりする。有名なところでは南米のアンデス地方などが該当する。
さて、このように人工的に頭部を変形させた際に何らかの認知機能障害が引き起こされたりはしないのか。実際にこの点については学者らの間でも議論が行われていると、骨学者Michaela Harbeck氏は述べている。
現在の研究結果によれば、変形頭蓋骨の人物には膨らんだ目を含むいくつかの病的状態がみられるという。障害の程度は変形の状態に大きく依存するそうなので、やはり人体に良い影響を与えるものとは言えなかったようだ。
(飯山俊樹 山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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