妖怪・幽霊

実話怪談「4枚の抽象画」その3

その2から続く

それは目下Fさんと良い関係になっていた大学のサークルの後輩であった。その子は鎌倉の山の方に住んでいたが、家から少し離れた山奥で杉の木にロープをかけ首を吊って死んでいたのだという。

この後輩の死にも不可解な点があった。後輩は運動が苦手なタイプであったのだが、樹齢100年は経っていると思われる大木のてっぺんにかけたロープで首をくくり死んでいたのだという。




林野庁の職員が調査を行っていてたまたま気付いたのだが、もし調査を行っていなければ、発見がいつになっていたかわからなかったとの事だった。

いったいどうやってあんな所まで登ったのか、その理由が皆目わからないのだという。

この話しを聞いてFさんは愕然とした。Fさんは彼女の事が好きで、もうそろそろ想いを伝えようと思っていた。そんな彼女が死んでしまったことはFさんを深く悲しませた。そして、彼女の死はFさんに3枚目の絵を連想させた。

あの三角形は大木の杉の木を表わしていたのではないか。そんな気がしてならなかった。

Fさんは死んだ3人のことを思い返していて、ある共通点があることに気が付いた。3人ともあの絵を自分の部屋で見ていたのだ。

絵を見たのは3人だけでは無かった。他の友人も見ていたし、様子を見に来た母や東京で働いている妹も部屋に遊びに来たときに見ていた。

絵は4枚。きっと次はその中の誰かが4枚目の絵と関係がある形で死ぬ。Fさんはそう思った。それに、死んだ3人は死亡した順番にFさんとの関係が深くなっているように思えた。




だとしたら、つぎは母か妹があぶない。もしくは自分こそが次に死ぬ人間なのかもしれない。

ただの妄想であってほしい。けれど、Fさんの中では絵と周囲で死んだ人間には関連があるとしか思えなかった。もうFさんは気が気ではなかった。絵を燃やしてしまおうかとも思ったが、それで死の連鎖が止まる確証はもちろんなかった。

Fさんはひとり絶望的な想いに駆られている中、地元の友人に寺の息子がいたことを思いだした。すぐに連絡をとって相談してみた。その友人Kさんは話しを聞き、「確かにその絵はやばそうだな」と言い、父親に相談してみると言ってくれた。(※続く)

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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