瞬間記憶という人間の能力がある。
サヴァン症候群の一種だと言われているが、一度見た風景や、一度読んだ本の内容を記憶してしまうという能力だ。この能力に長けている有名人は何人が存在する。因みに英語では「カメラアイ」と呼ばれている。
画家の山下清は、自分が見た風景を詳細に記憶し、帰宅後その見た風景を正確に作品に仕上げたと言われている。よく山下が現場で絵を描いているドラマや映画のワンシーンがあるが、あれは厳密に言うと間違えている。
他にも作家の谷崎潤一郎は、見た風景を詳細に脳内に記録することが可能であった。
ある時、名前も知らない料亭で飲食をした。翌日知り合いが何と言う料亭だったか問い合わせをしてきたので、記憶をさかのぼり料亭に入る前に一瞬だけ仰ぎ見た軒灯に書かれていた料亭の名前を思い出すことに成功した。
三島由紀夫も風景の記憶に関しては天才的な能力を持っており、どこに取材旅行に行く時も、カメラは不要であった。
かくいう筆者の事務所にも、瞬間記憶の持ち主がいる。
ある外注先の事務所が山口敏太郎事務所にPR用のデザインポスターを持ってきた。山口敏太郎の関連グッズのポスターである。なかなか良いデザインだったのだが、その瞬間記憶の持ち主が 「このデザインはどっかで見たことがある」と指摘した。
20分ほどその人物が記憶の中から思い出し、東映に権利があるポスターのパクリだということが判明した。その人物は1度しか見たことないマニアックなポスターを瞬間記憶していたのだ。
また違う日には、ある未確認生物の合成写真を見た瞬間、未確認生物を見物する観客の立ち位置から、元ネタの写真を割り出すことに成功している。これらの行為はパソコン等は一切使っていない。あくまで人間の記憶の中でのデータに基づいている。
瞬間記憶とはなかなか侮れない能力だ。
アトラスでは人間の特殊能力について記事にしている。「共感覚」の記事は大変好評であった。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像『僕は兵隊にいかれない 放浪の天才画家 山下清の戦争 (朝日新聞デジタルSELECT)』