アトラスでも何度か紹介しているが、昔の人々が作った作品の中に、まるで現代のテクノロジーの産物にしか見えないものが登場して驚かせることがある。
上は1850年代に作成された絵画である。木々に囲まれた細い道を、黒い服に赤いベールを被った一人の若い女性が歩いていく。
だが、その女性の手元にはスマートフォンに思われる見た目の小さな板状の物体が握られているのだ。女性の視線は手元の物体に向けられているため、まるで現代の若者がスマートフォンを歩きながら操作している様子に見える。
この不思議な絵はオーストリアの画家、フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー による作品だ。この絵に描かれた光景がまるで現代の若者のようだと気がついたピーター・ラッセル氏のTwitterが話題となり、世界中で注目を集めることとなった。
だが、この絵は当然ながらタイムトラベラーを描いたものなどではない。
絵画を研究しているジェラルド・ワインポッター氏によれば、この女性はiPhoneで遊んでいるのではなく、小さな祈祷書を手にして教会に向かっている途中なのだという。
過去の写真や絵画の中に、まるで現代のデバイスを用いていたり衣服を着ているように見えるものがあるとして、これぞタイムトラベラーの証拠だとインターネット上で話題になることは少なくない。
アトラスでも、中世の人がスマートフォンを使っていた絵画などを紹介した。だがいずれも手紙など、当時も普通に存在していた物品の形状がたまたま似ていただけに過ぎなかったケースが大半である。
もしかしたら、今後も似たようなタイムトラベラーを描いた絵画は出てくるのかもしれない。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像©Wikipedia 『期待』(Die Erwartete)1860年頃 フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー