黒い霧とも煙ともつかないものの中に、様々な首が浮かんでいる……。そんな奇妙な妖怪が『あすこここ』だ。
この妖怪は尾田淑の『百鬼夜行絵巻』に描かれているが、名前以外に特徴は記されていない。
顔に関しても人間のそれとはまた違っており、あるものは平たく潰れたような顔、ある者は青ざめた顔に一つ目、ある者は赤い口から牙を覗かせ、ある者は切りの中から顔を半分覗かせてこちらを伺っている。
まるで4匹の妖怪が1つに合体したかのようなこの不思議な妖怪だが、ある意味で最も妖怪らしい妖怪と言えるのかも知れない。
妖怪は山野や屋外と場所を問わず、また姿形も様々で人間が知らないうちに『側にいる』。
つまり、“あすこ”にも“ここ”にもいる……そのことを、自ら示している妖怪なのかもしれない。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像©Wikipedia Asukokoko (あすこここ) from the Hyakki-Yagyō-Emaki (百鬼夜行絵巻)より